ラトビア代表

ダービス・ベルターンス「このチームにすべてを捧げていない者は誰もいない」

ラトビア代表はワールドカップ準々決勝でドイツに敗れた。スター選手が揃うドイツに対し、ラトビアのNBAプレーヤーはダービス・ベルターンスだけ。大会直前にクリスタプス・ポルジンギスがケガの影響でコンディションが整わずにプレーしないことを決断したことで、開幕前の評価はかなり低いものとなっていた。

それだけにフランスやスペインといった実績ある強豪を撃破しての決勝トーナメント進出には意味がある。チームを引っ張ってきたベルターンスは「僕らはすべての試合で全力で戦ってきた。そのことを誇りに思う」と、敗れてもなお充実した表情を見せた。

ヘッドコーチのルーカ・バンキもこう続ける。「負けたのは残念だが、我々の進むべき道やビジョンを見失う必要はない。我々のプレースタイル、世界に示したアイデンティティ、ジャカルタラウンドを突破してマニラへとやって来たことすべてに大きな意味がある。決勝トーナメントに駒を進めた残り7チームはすべて強豪で、そこに肩を並べたのは誇らしいことだ」

ドイツ相手にも、決して劣ってはいなかった。試合を通じて1ポゼッション差の攻防が長く続き、リードチェンジは実に15回と息詰まる熱戦に。第4クォーターに入って一度は差を広げられたが、終盤には執念の猛攻を見せた。

79-81で迎えた残り7秒。デニス・シュルーダーのシュートが外れてラトビアに最後のチャンスがやって来る。残り2秒でベルターンスが逆転の3ポイントシュートを狙うも、これがリングに弾かれて試合終了のブザーが鳴った。

ヒーローになる機会を逃しても、ベルターンスにはやるべきことはやりきったとの思いがある。「ワールドカップでの唯一の目標は、すべての試合ですべての力を出し切ることだった。このチームにすべてを捧げていない者は誰もいない」

しかし、ラトビアのワールドカップはまだ終わっていない。順位決定戦で7日にイタリアと、9日にはリトアニアあるいはラトビアとの試合が控えている。ヘッドコーチのバンキはこの2試合を軽視していない。むしろラトビア代表の将来にとって重要なチャレンジと考えている。

指揮官は言う。「ベテランと若手が上手く噛み合った状態でこの大会を迎えることができた。我々にとってのゴールはオリンピック出場権ではなくて明日なんだ。世界のベストチームと対戦できるチャンスがあるなら、それを最大限に生かしたい。負けたのがショックでも、戦い続けなければならない。最高の相手と戦うことでしか成長できないからだ」

「このチームは2017年以降は国際大会に出場していなかったから、とにかく経験が足りない。我々にとっては一つひとつの試合が成長を生み出すために重要なんだ。まだ終わっていない。明日という自分たちの未来に100%集中したい」

イタリア人であるバンキ自身にとっても、ワールドカップでの母国との対戦は大きなチャレンジとなる。「とても誇りに思う」と彼は言い、敗れてもなお集中を切らすことなく会場を後にした。