リトアニア代表

ボビー・ポーティス「逆境をどう乗り越えるかが問われる」

アメリカ代表は無敵の存在ではなかった。2次リーグ最終戦、リトアニア相手に試合開始2分すぎにリードを許すと、その後に一度も追い付くことができず104-110の敗戦を喫した。

前回に苦戦したモンテネグロ代表との試合に続いてリバウンドで27-43と大苦戦。前回はディフェンスからブレイクに繋ぎ、ファストブレイクポイントでリバウンドの不利を埋めたが、今回はそこで17-11と上回ってはいても大きな差にはならなかった。

先発センターのジャレン・ジャクソンJr.がファウルトラブルで15分しかプレーできずリバウンドはわずか1。控えのパオロ・バンケロ、ウォーカー・ケスラーもリトアニアの高さに対抗できなかった。その状況でインサイドにディフェンスの意識が集まると、リトアニアは3ポイントシュートを25本中14本と効率良く決めていく。

リトアニアはアメリカ以上にハードワークし、フィジカルに戦うことで、タレント力の差を埋めた。この試合でのベストプレーヤーは35得点を挙げたアンソニー・エドワーズで、それに続くのもアメリカの選手だろうが、リトアニアは最もプレータイムの長い選手でも22分半のタダス・セデケルスキス(11得点11リバウンド)で、常にフレッシュな選手がコートに送り出され、勇敢に戦い続けた。

14得点を挙げたミンダウガス・クズミンスカスは、試合を前に過去にリトアニアがアメリカに勝利した1998年の世界選手権、2004年のオリンピックの映像を繰り返し見て士気を高めたと言う。「信じられないけど、僕らはやり遂げた。僕たちの国にとって、アメリカに勝つことがいかに大きな意味を持つのか。国のため、自分のため、家族のために幸せだよ。でも、次の試合がすぐにあるから喜びすぎるわけにはいかない」

控えポイントガードのヴァイダス・カリニアウスカスは17分半のプレーでチームトップの15得点を挙げている。彼は「コーチの指示は『試合を楽しめ』だった。僕らにとって、これだけ注目される試合はそう多くない。どうプレーするかはあまり考えず、ただプレーしたんだ」と語る。

アメリカにとってはチーム始動から初の黒星。試合開始を前に、勝敗にかかわらず決勝トーナメントに進出できることは決まっていた。それでも、勝つべき試合だったのは間違いなく、選手たちは誰もが屈辱を感じていた。エドワーズは「まだ戦い続けられるのはラッキーだった」と語り、ミカル・ブリッジズは「これで敗退ってわけじゃない。ここから学んで次の試合に備えるよ」と言う。

ベテランのボビー・ポーティスはこう語る。「僕らは逆境を必要としていた。いずれ何らかの形で逆境がやって来ることは分かっていたよ。どんな良いチームでも、逆境をどう乗り越えるかが問われる。これが次の試合に生きるはずだ。次からは勝ち上がるか敗退するかしかない状況、プレーオフの『GAME7』みたいなものになるからね」