マイケル・カレラ

欧州の経験が豊富、今大会のベネズエラ代表で唯一の国外組

8月26日に行われたグループFのスロベニア代表とベネズエラ代表の一戦は、37得点を挙げたルカ・ドンチッチの大暴れによってスロベニアが100-85で勝利した。だが、敗れたとはいえベネズエラの評価も高まる一戦となった。

ドンチッチのように個の力でアドバンテージを生み出せる選手はいないが、巧みな連携によってパスを散らし、オープンシュートの機会を作り出す。第2クォーター終了間際にはハーフコート付近からのブザービーターというビッグプレーも飛び出し、前半は51-56とメダル候補の強豪と互角に渡り合った。第3クォーターに入ると、外から決め切れずにオフェンスが失速。このクォーターで12-22と突き放されたことが響き敗れてしまったが、グループ2位での2次ラウンド進出を十分に狙える力を持っていることを示した。

試合後の会見において、ドンチッチも次のようにベネズエラに敬意を払っていた。「難しい試合になることは分かっていました。2年前、ベネズエラと戦ったことがあり、彼らはフィジカルでシュート力があるチームです。最後まで戦うことで勝てました」

ベネズエラ代表はほとんどが国内リーグに所属する選手たちで構成されている。その中で、新シーズンにスペインのエストゥディアンテスに加入するマイケル・カレラは唯一の国外組だ。欧州でのプレー経験が豊富で、昨シーズン途中にはスペインの強豪グラン・カナリアにも在籍。チーム屈指の海外経験を誇り、この試合でもチームトップの32分半出場で10得点4リバウンド2アシストを記録。チームの潤滑油としてスタッツに残らない貢献も光ったオールラウンダーだ。

健闘及ばずにアップセットを逃したカレラは、分かっていたとはいえドンチッチの支配力にやられてしまったと振り返る。「スロベニアはワールドカップにおけるベストチームの1つです。食らいつくため自分たちのできることをすべてやりましたが、彼らには世界最高の選手の1人がいます」

マイケル・カレラ

「僕は勇樹がどれだけ活躍できるかを分かっています」

ただ、前半で互角の戦いができたことは収穫であり、「僕たちの目標は2次ラウンドに進むこと」と次戦に向けて気持ちを切り替えている。「今日の負けは傷つくモノだけど、ベストを尽くしました。そして、大会はこれからも続いていきます。まず、今日はタフな試合だったので明日はしっかりと休みます。そして明後日のジョージア戦に集中していく。彼らは良い選手が揃う手強いチームで、フィルムを見てしっかりスカウティングします」

そして、日本代表の富樫勇樹との関係について聞くと、笑顔を見せて次のように答えてくれた。「彼は高校の同級生で僕にとってリトルブラザーです。モントロス・クリスチャン高校で一緒にタフな時間を乗り越え、ナショナルチャンピオンシップを勝ちました。彼から日本がいかに素晴らしい国であるかを聞いていました。実際、日本に来てみて尊敬すべき文化を持っていると感じていますし、日本のことを気に入っています」

また、高校卒業後も連絡を取っていることを明かし、今大会における富樫の活躍を信じている。「勇樹がどんな選手であるかは知っています。高校時代の彼はファイナルでビッグショットを決めるなど、常にすごいことをやっていました。僕は勇樹がどれだけ活躍できるかを分かっています」

前回大会のワールドカップ2019で、ベネズエラは2次ラウンドに進出し14位の成績を収めた。今回も同様の躍進を成し遂げられるポテンシャルは十分にあり、「僕たちは常にチーム一体となって戦う。そのための準備はできている」と、チームの仕上がりにも自信を見せる。願わくば日本とベネズエラが共に2次ラウンドへと勝ち進み、富樫とカレラが対決する光景を見てみたい。