『オールジャパン2017』男子決勝、川崎ブレイブサンダースvs千葉ジェッツの見どころを探る

2017/01/09
Bリーグ&国内
112

文=鈴木健一郎 写真=本永創太

ニックvsヒルトン、攻守のBリーグ最強選手がマッチアップ

いよいよ試合開始が迫ってきた『オールジャパン2017』男子決勝。たくさんある見どころをいくつかピックアップしたい。

どちらもディフェンスからリズムを作ってオフェンスへとつなげる堅実かつ実効性の高いバスケットを武器にファイナルまで勝ち上がってきた。両チームともハードワークは持ち味。ただ、スピードや運動量といった機動力となると、外国籍ビッグマンに『足』のある千葉が優位に立つ。

富樫勇樹のピック&ロールから一気にフィニッシュまで持ち込むスピードある攻めに川崎がどう対応するか、まずはここがポイントとなる。昨日の時点で、富樫はスクリーナーを使ってフリーの状況を作り、足のないニック・ファジーカスを狙うことを示唆した。ここで富樫が先手を取るようになると、川崎はファジーカスを無駄に疲弊させることになるし、フォローに入ればフリーとなったアウトサイドを生かすコンビネーションがある千葉に対して後手に回ることになる。

一方で、『リーグ最強スコアラー』であるファジーカスをどう止めるかが千葉にとっての課題。守備の軸であるヒルトン・アームストロングがまずはマッチアップすることになるだろうが、高さと強さに加えて柔軟性も備えたアームストロングであっても、内外問わず多彩な得点パターンを誇るファジーカスを抑え切るのは難しい。ここもアームストロングを中心としてチームでどう守るかが問われる。

昨年末の対戦でもファジーカスとアームストロングは激しい衝突と抜け目ない駆け引きを繰り返してマッチアップしたが、結果は川崎の連勝、つまりファジーカスの勝利だった。接戦の試合終了間際にファジーカスの策にはまりアームストロングがファウルアウトに追い込まれたのは、その象徴的なシーンだ。

抜群の守備力を誇るとともに熱くなりやすいアームストロングには平静さを保ち、ファウル数をコントロールすることが求められる。また1on1にさせずチームで対応することが千葉には必要だ。ただ、ファジーカスという『武器』の使い方を熟知しているのが川崎の強みでもあり、富樫が言うように単純にファジーカスを守備で疲弊させることはそう簡単ではない。

強力な得点源を持つ川崎、どこからでも得点できる千葉

試合展開としては勢いのある千葉が立ち上がりから強烈なプレスディフェンスを仕掛け、主導権を握ろうとするだろう。このやり方で栃木ブレックスもシーホース三河も序盤から圧倒し、そのまま押し切った。小野龍猛、石井講祐というエネルギッシュなプレーヤーがチームのために自己犠牲に徹することができるのも、今の千葉の強みだ。

ただ、自己犠牲は川崎の持ち味でもある。篠山竜青も辻直人も、チームプレーを忠実に実行できるプレーヤーだ。主役を演じる力がありながらサポート役を引き受けるライアン・スパングラー、逆境でこそ真価を発揮するジュフ磨々道。さらには藤井祐眞と長谷川技という強力な個性を持った選手がベンチに控えている。

両者のカラーに違いがあるとすれば、川崎が特定の選手に得点を依存するのに対し、千葉はどこからでも点が取れることだ。川崎は前述のとおりファジーカスが圧倒的な得点能力を安定して発揮できる上に、当たり出したら止まらない辻がいる。3ポイントシュートを得意とする辻は今大会ここまであまり当たっていないが、大舞台での勝負強さは折り紙つき。大爆発する日が今日であっても不思議はない。

対する千葉はポイントガードの富樫がゲームメークだけでなく得点源になっている上、石井も小野も高い得点力を誇る。ここに来てチームとの連携を確立したタイラー・ストーンがオフェンス面で絶好調なのも大きい。攻撃の駒としては川崎だが、多彩さでは千葉。それぞれ自分たちの長所をいかに発揮し、相手の強みを消すか、その駆け引きに注目したい。

また、川崎の北卓也、千葉の大野篤史の両ヘッドコーチによる『頭脳戦』も見どころだ。大舞台での川崎の異常なまでの勝負強さは北ヘッドコーチの巧みな選手起用とメンタルコントロールがあってこそ。競った試合終盤でこそ真価を発揮する、その勝負根性こそが、川崎の最大の強みだ。

一方の大野ヘッドコーチは千葉の指揮を執ってまだ半年に満たないが、それでもこれだけのチームケミストリーを築き上げた。チームの勢いをそのまま試合に反映させる手腕も見事だ。佐古賢一の下で広島ドラゴンフライズのアシスタントコーチを務め、一昨年にはオールジャパンのファイナルを経験している。千葉にとっては初の決勝だが、指揮官がこの舞台を経験しているのは心強い。

試合開始まであとわずか。最も実力があり勢いに乗った両チームの対決が楽しみだ。