川真田紘也

7リバウンドなどゴール下の守備で奮闘し、後半を29失点に抑える立役者に

男子日本代表は8月15日、アンゴラ代表と強化試合を行い75-65で勝利した。この試合、日本代表はコンディション調整や故障の影響により、これまで強化試合の出場を見送っていた渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソンの中心選手2人が待望の復帰を果たした。しかし、渡邊が前半途中に右足首を捻挫し負傷退場に。幸い重傷ではなく、25日に行われるワールドカップ初戦のドイツ戦には間に合う見込みだが、残り2試合の強化試合は17日のフランス戦を欠場、19日のスロベニア戦の出場も流動的で、ぶっつけ本番で大会に臨む可能性が出ている。

また、股関節の故障により7月上旬のチャイニーズ・タイペイ戦以来の実戦で、まだまだ試運転のホーキンソンはプレータイムを約15分に制限していた。そのため、後半の大半は渡邊、ホーキンソンが共にコートに立っていなかった。そんな中でも後半を29失点に抑えたことが大きな勝因となったが、この堅守の立役者がビッグマンの川真田紘也だ。

25分30秒のプレータイムで4得点7リバウンドを挙げた川真田だが、フィジカルを強調したプレーでどんどん仕掛けてくるアンゴラのインサイド陣に対しても当たり負けしないディフェンスでスタッツ以上の存在感を示した。

「相手がフィジカルに来るのは分かっていました。そこに負けない気持ちで向かっていった結果、でき過ぎとまでは言いませんが、自分の良い部分が出たと思います」

このように振り返る川真田は、短い時間ではあるがついに実現した渡邊との共闘に大きな手応えをつかんだ。「雄太さんはなんでもできます。僕に合わせてくれるのでやりやすいと思いました。ジョシュも入って、サイズがアップしたので強くなったと思います」

今回の試合は激しいサバイバルレースを経て、本大会ロスター枠の12名に絞られてから初の強化試合だった。事実上のワールドカップ出場が確定したことへのうれしさはもちろんあるが、同時にチームを去った仲間へのためにもという気持ちがより強い。「今回ケガで離脱することになった(渡邉)飛勇は特に同じセンターとして雄太さん、ジョシュがいない時から2人でやってきたので、一緒に頑張りたかったです。彼だけでなく、みんなの気持ちを背負って戦っていきたいです」

川真田紘也

「残り2試合は、格上相手にどこまで通じるのか挑戦したいです」

アンゴラ相手にゴール下の肉弾戦で互角に渡り合っていた川真田だが、終盤には自分の上から豪快にダンクを叩き込まれる洗礼も浴びた。これも今後に向けて良い教訓になったとポシティブにとらえている。「あのプレーはおそらく相手がピック&ロールでダイブしてきて、僕がカバーに行きましたがやられてしまいました。もっとコミュニケーションを取らないといけないです。最後の守りの要として、もっと良いディフェンスができればいいと思っています」

直近の約1カ月、トム・ホーバスヘッドコーチは何度も川真田の成長ぶりを称えるコメントをしている。本人も「タイペイ戦に比べても自分のレベルが上がってきていると思います」と手応えを得ている。

そして、明日にはフランス、明々後日にはスロベニアと、世界屈指の強豪と強化試合を行うにあたり、こう意気込んだ。「残り2試合は格上相手にどこまで通じるのか挑戦したいです。ここで良い手応えが得られれば、本番にも繋がっていきます。自分のできることを思いっきりやりたいです」

特に次のフランス戦は渡邊が欠場し、ホーキンソンも調整中ということで川真田に多くのプレータイムが与えられるだろう。NBAを代表するビッグマンのルディ・ゴベアとマッチアップする機会も生まれるはず。

「(ゴベアに)1対1で臨んでみたいという気持ちはありますが、まずはチームのルールをしっかり守ってプレーすることです」。こう語る川真田だが、アンゴラよりも格上で、本当の世界トップレベルの壁に挑むことは本大会に向けて貴重な経験となる。残り2試合も彼らしいアグレッシブなプレーを続け、文字通り世界の高さを体感することでさらなる進化を期待したい。