「インテンシティ高くできたことでバウンスバックできた」
8月2日、男子日本代表はニュージーランド代表と強化試合を行い79-72で勝利を収めた。
渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソンと中心選手2人が欠場した日本は、試合の立ち上がりにディフェンスで圧力をかけることができず。ニュージーランドに内と外をバランス良く攻められ17-29と大量リードを許す。しかし、第2クォーターに入ると、攻守の素早い切り替えからオープンシュートの機会を多く作り出し、24-10のビッグクォーターで逆転に成功して前半を終える。後半に入ると一進一退の攻防が続いたが、第4クォーターに突き放して競り勝った。
トム・ホーバスヘッドコーチはこのように試合を総括する。「出だしはちょっと足りなかったです。(ディフェンスは)最初のアクションで何回も相手のフィジカルなプレーに負けましたが、第2クォーターからリズムが良くなりました。(渡邊、ホーキンソン不在の)このメンバーでも相手のフィジカル、リバウンドに負けたくない。オフェンスリバウンドで11-10と勝ったのは大きいです」
第2クォーターに悪い流れを断ち切れた一番の要因は、ディフェンスの強度を高めることができたからだ。指揮官は次の選手たちの貢献が大きかったと振り返る。「パッと頭に浮かぶのは原(修太)がよく頑張ったかな。須田(侑太郎)は激しいオンボールディフェンスをよくやっていました。河村(勇輝)もオンボールプレッシャーをよくやりました。(渡邉)飛勇もペイントプロテクション、ヘルプディフェンスを頑張りました。川真田(紘也)は良い意味でショックを受けるくらいやっています。彼のプレーはすごく上がっています」
そして守備面に加え、オフェンスでも大きなインパクトを与えたのが河村だ。Bリーグのシーズン終盤に負った故障の影響から、ここまでずっと強化試合の欠場を続けていたが、この試合で待望の復帰を果たした。久しぶりの実戦で4ターンオーバーと周囲との連携ミスもあったが、18分8秒のプレータイムで7得点7アシスト5リバウンド2スティールと大暴れだった。
「第1クォーターは、自分たちのリズムでできずに12点差をつけられて終わってしまいました。そこからディフェンスでアジャストして、インテンシティ高くできたことでバウンスバックできたと思います」
富永啓生「河村と一緒に出ているとシュートも打ちやすいです」
こう振り返る河村は、次の思いを持って復帰戦に臨んだと続ける。「この日を楽しみにし、トレーニング、リバビリを頑張ってきたつもりです。支えてくれたたくさんの方たちへの感謝の気持ち、待ち続けてくれたファンの皆さん、理解してくれたトムさん、チームメートにパワーアップした姿を見せたいとコートに立ちました」
そして、このパワーアップした点について「対人でのショットクロックがない中での1対1の動き、クイックネスさは上がってきています。一つひとつのプレーの反応は前より上がっていると思います」と、具体的に語っている。
この日も7アシストを挙げるなど、河村の大きな武器は抜群のパスセンスで味方を生かすアシスト能力にある。中でも第3クォーターで共演が実現した、同じ2001年生まれの富永啓生との阿吽の呼吸によるコンビプレーは見る者をワクワクさせる。
富永も河村との連携には特別なものがあると語る。「すごくやりやすいです。とにかく一緒に出ている時は自分のことをずっと見てくれている感じですね。河村と一緒に出ているとシュートも打ちやすいですし、アテンプトも増えてとても良かったと思います。アンダーカテゴリーからずっとやっていて自分の動きを彼は知っています。彼がどういうパスをしたいのか自分も知っています」
河村本人は「2カ月試合をしていなかったので流れの中での体力、試合勘を徐々に上げていかないといけない」と語るが、そういった懸念点が気にならない今回の見事な復帰戦だった。