「ヘルシーな競争が行われていますが、長い間続けていくと少しおかしくなってしまう」
7月30日、バスケットボール男子日本代表が公開練習を行なった。7月22日、23日には韓国遠征を実施し、1勝1敗で終えた。ともに帰化選手が不在でベストメンバーではなかったが、長年に渡るライバルとの対決はフィジカルの激しい試合で得るものも多かった。
トム・ホーバスヘッドコーチは「韓国遠征が終わって、みんな気持ちが強く、自信があります。練習中から本当にインテンシティが高いです」と、個々の選手の合宿での取り組みに手応えを得ている。
そして待望の合流となったサンズの渡邊雄太については合流直後ということもあり、8月2日、4日に行われるニュージーランド代表との強化試合を欠場すると明かした。「ニュージーランド戦はやらないです。彼はやりたいと思っていますが、NBAの面とかいろいろとあります。ただ、状態は大丈夫です」
また、渡邊の高い向上心と負けず嫌いなメンタルは、早くもチームに良い影響を与えていると続ける。「練習で彼のチームが2回続けてミスをしたら怒っていました。彼はどんな時も負けたくない。気持ちが強いです」
前回の韓国遠征を経て、今回の参加メンバーは渡邊が新たに合流した一方で人数は15名まで減った。特に大きな注目を集めたのは、昨年から長らくポイントガードの3番手として代表の常連になっていたテーブス海が外れたことだ。
ホーバスヘッドコーチはこの決断について、西田優大を練習からポイントガードで起用する機会を増やしたいからだと明かす。「テーブス海のプレーが悪かったのではありません。西田はここ2回の合宿でMVPのレベルでやっています。彼はディフェンスにシューティングも良いです。テーブスをカットする決断は難しかったですが、西田の(ポイントガードとしての)練習がもっと必要です。もし、ポイントガードが4人、5人といたら、彼の練習機会が少なくなってしまいます」
そしてポイントガード以外の12名を巡る争いについては次のように語っている。「2番、3番はフィフティ・フィフティの選手が何人もいます。だからワールドカップ直前になって誰の調子が良いか、シュートが入っているかどうかの違いになってきそうです。4番と5番もフィフティ・フィフティの選手がいます。例えば川真田(紘也)は韓国戦ですごく良かった。でも韓国戦は彼の方がサイズがありました。(ワールドカップで対戦する)ドイツは彼より大きい選手がいっぱいいます。これからの強化試合で、自分より大きい相手にどこまでできるのかテストしたい」
ホーバスヘッドコーチは12名の最終ロースタ争いのレベルの高さに満足している。ただ、この競争が充実しているが故に、あまり長く続けると選手たちが本大会を前に心身ともに疲弊しすぎてしまうことを危惧している。だからこそ、今後の見通しをこのように語った。「とても激しく、ヘルシーな競争が行われています。ただ、長い間それを続けていくと少しおかしくなってしまいます。12名を早く決めて、そこから落ち着いて自分のリズムが作れるようにしたいです。ニュージーランド、アンゴラ戦が終わった後、フランスとスロベニア戦の前には12名を決めたいです」
渡邊も合流し、ワールドカップ本大会に向けてチーム作りも最終局面を迎えている。ここで誰が実戦で結果を残すのか。まずは2日、4日のニュージーランド戦で早速アピールに成功する選手が誰なのか見逃せない。