初の2年契約「ピークをどこに持っていくかをコントロールできるのはありがたい」
7月9日、サンズの渡邊雄太がオンライン取材に対応した。
NBA5年目の今シーズンにネッツで『3&D』として高いパフォーマンスを見せた渡邊は、フリーエージェント解禁初日にサンズとの契約がまとまった。渡邊は自身に興味を示したチームは10チーム以上あり、サンズよりも高額な契約を提示してきたチームもあったと明かした。それでも「今はお金じゃなく自分がやりたい場所でプレーをすることが大事」と言い、ケビン・デュラントの存在もサンズ加入の背中を押したと話した。
「サンズが特に熱量があったし、個人的に去年まで一緒だったKD(ケビン・デュラント)がいたりとかそういう部分もありました。僕がサンズとの契約決めて1番最初に連絡をくれたのが彼(KD)だったんです。彼からはすごく信頼されていたというか、すごく僕のことを評価してくれていたと思います。本当にNBAの歴代の中で見てもトップクラスの選手からそういうふうに思ってもらえるのはすごくうれしいですし、去年KDとプレーしていて本当に楽しかったので、また同じように楽しい時間を過ごせたらなと思っています」
これまでの渡邊はエグジビット10契約(無保証かつ最低年俸での契約)や2ウェイ契約、今シーズンの無保証のキャンプ契約スタートなど、開幕以前からロスター争いを強いられてきた。しかし、今回は初めて保証付きの契約を結べ、さらに2年目も保証されていることで精神的にも肉体的にも良い状態で過ごせると言う。
「シーズンが終わった後、まず最初にエージェントとミーティングをしたんですけど、その時にもうノンギャランティーではNBAでやっていける自信がないと伝えました。この後自分がチームに残れるのかどうかっていうプレッシャーの中でやっていくのはかなり大変だったので。正直、去年のネッツでもしたくはなかったんですけど、今年はもうそれは絶対にできないと伝えていました」
「もちろん、ちゃんとした契約をもらえる自信が多少あったっていうのもあるんですけど、今までは本当にギリギリの状態でやってきたので。この段階で2年契約してもらえているので、悪い意味で変に余裕を持ったりとかすることは僕の性格上絶対にありえないんですけど、ピークをどこに持っていくかをコントロールできるのはすごくありがたいです。契約がない状態だとキャンプ初日にピークを持って行ってそのままシーズンに突入する。それが何よりも大変だったので」
ただ、躍進を果たしたネッツへの思いは強く、少なからず残留も考えたという。それでも、自身のステップアップを優先し移籍を決断した。
「ブルックリンでの時間は自分のキャリアを左右した1年で、正直自分としてもすごく寂しいです。辞めた時にブルックリンのファンの皆さんからSNSを通して温かいコメントをたくさんもらって、それだけみんなに応援してもらえていたんだなっていうのを感じてブルックリン残留も正直考えてはいました。でも、トレード以降の状況だったり、もっと自分が輝ける場所があるんじゃないかと思ったんです。新しいチームでやれることは楽しみなので、悲しい気持ちと楽しみな気持ちという感じです」
八村塁のワールドカップ出場辞退が発表された際、渡邊は八村の決断を尊重しつつも「先に言っとくけど俺は出る」と自身のTwitterで表明した。そして、日本代表としてプレーすることに強い思いを持つ渡邊は、自身の役割などを説明しこのように締めた。
「若い選手がたくさんいる中で自分は経験が多いですしメンターになれたらと思いますし、このチームではリーダーとして引っ張っていかなきゃいけないと思っています。NBAとは違った役割にはなってきますが、プレー面ではいろんなことを求められると思いますし、自分の良さを出しつつ、自分の成長した姿を見せられたらと思っています」