ドレイモンド・グリーン「同じ選手でも自信を失えば……」

ネッツのベン・シモンズがワールドカップに参加しないことが決まった。

シュートスランプからメンタルのバランスを崩し、セブンティシクサーズからネッツにトレードされたシモンズは、昨シーズンに42試合でプレーしたものの、攻守ともにかつてのレベルを取り戻せておらず、シーズン後半は腰と膝のケガによりプレーできなかった。

コンディションと自信を取り戻すために、NBAではなくオーストラリア代表でプレーするというアイデアは悪くないように思える。シモンズは2013年のオセアニア選手権でプレーしただけで、2019年のワールドカップ、2021年の東京オリンピックと参加が期待されたにもかかわらず出場を辞退している。

オーストラリア代表ヘッドコーチのブライアン・グーリジャンは今年5月の時点で、「ベンはコンディションを整え、ワールドカップに参加するつもりでいる。我々のドアはいつも彼に対して開かれている」と、シモンズの決断を待っていたが、シモンズはネッツと相談した上でリハビリを優先させることを決めたとオーストラリア代表が発表している。

2020-21シーズンのプレーオフ、ホークスとのカンファレンスセミファイナルは、シモンズにとって悪夢のシリーズとなった。シュートスランプを狙われ、2勝1敗から3勝4敗と逆転されてチームが敗れると、戦犯として袋叩きにされた。そこから彼はシクサーズに不信感を持ち、プレーを拒否。ネッツ移籍が転機になるかと思われたが、ここでも自分のリズムを取り戻せていない。

先日、ドレイモンド・グリーンはポール・ジョージのポッドキャスト番組に出演して、シモンズについてこう語っている。「NBAでは誰もが自信を失いかける。僕も自分のジャンプシュートに自信がなくなり、思うように打てない時期があった。僕はそういうタイプじゃないから立ち直ることができたけど、どんな選手にとっても厳しい状況だ」

「今はシモンズがその典型的な形になっている。彼はシクサーズでゲームを支配してきたシモンズのままだけど、ただ一つ違うのは自信を持ってプレーできているかどうか。同じ選手でも自信を失えば、今までやってきたプレーができなくなる」

2年に渡りスランプでまともにプレーできていないにもかかわらず、オールスター級の高給取りでサラリーキャップを圧迫しているという要素もあって、NBAでの彼の評価は非常に低いものとなっている。ネッツもシモンズの復調を待つより、何とかしてトレードに出そうとしている雰囲気があるが、残り2年で7800万ドル（約100億円）という高額契約がネックとなり、動かせそうにない。

この悪い連鎖から抜け出すためにも、プレッシャーの少ないオーストラリア代表でプレーすることは、自信を取り戻すきっかけになりそうなのだが、シモンズとネッツはワールドカップに出場しないという判断を下した。