「高校を卒業して、日本でプレーする機会がなかったですのですごく楽しみです」
6月26日、男子日本代表が公開練習を行った。今回の合宿には15名が参加しており、このメンバーで7月8日、9日に行われるチャイニーズ・タイペイとの強化試合に臨むと見られる。特に注目を集めた選手の1人がネブラスカ大の富永啓生だ。
編入で加入したネブラスカ大2年目の昨シーズン、富永は32試合に出場し、1試合平均13.1得点、3ポイントシュート成功率40%と前年(平均5.7得点、3ポイントシュート成功率33%)からステップアップを果たした。ネブラスカ大が所属するのは全米随一の強豪、BIG10カンファレンス。チームも前年の4勝16敗から9勝11敗と大きく成績を向上させたが、富永はその原動力となる活躍ぶりだった。
日本代表のエースシューターとして大きな期待を寄せられる富永にとって、今度のチャイニーズ・タイペイ戦は昨シーズンの大活躍後では初の日本代表での試合となる。また、3×3代表で出場した東京五輪はコロナ禍による無観客だったこともあり、「高校を卒業して、なかなか日本でプレーする機会がなかったですのですごく楽しみです。自分の武器である3ポイントシュートをアピールしたいです」と、久しぶりとなる有観客での国内での試合について語った。
そして、大きな注目が集まる河村勇輝との共演については「一緒にプレーするのはすごく楽しいです」と語り、「(河村のBリーグMVPについて)同年代の選手が活躍しているのはすごく刺激になります」と続けた。
さらなる飛躍へ「シュート以外のところでもう1つ、2つレベルを上げないといけない」
昨シーズン、富永の飛躍をもたらした大きな要因はフィジカルの強化だ。大学のシーズンが終了した3月以降も精力的に取り組んでおり、大きな手応えを感じている。「アジリティやパワーを上げたい部分もありますが、一番の目的は体重を増やすことです。食事の回数を1日5食、6食と増やしました。去年の代表合宿の時と比べると10kgちょっと増えていますが、動きについても問題ないです」
たくましい身体となったことで、攻守において次のような効果が出たと振り返る。「ディフェンスで当たり負けしなくなりました。オフェンスでも身体をぶつけられても相手のマークを振り切れるようになりました。オフボールの動きが去年に比べてすごく良くなったと言われます。おかげで自分のプレーの幅が広がりました」
NBA選手を目標に掲げる富永にとって8月のワールドカップで世界の強豪を相手に活躍することは、大会後に始まる大学最後のシーズンで自身の注目度を高めるためにも重要だ。「自分の武器をアピールすることでNBAにも行きやすくなります」と、持ち味の3ポイントシュートを高確率で決めることはもちろんだが、それ以外の精度を上げることの重要性をドラフトエントリー取り下げ前に参加したペイサーズとのワークアウトで実感したという。
「この身長(188cm)だったらプレーメーキングとか、アシスト、ディフェンスなど、シュート以外のところでもう1つ、2つレベルを上げないといけない。それができれば、また違う世界が見えてくると思います」
チームは始動したばかりで、次のチャイニーズ・タイペイ戦は連携などいろいろな面でチームとして仕上がっている状態ではないだろう。だが、それでも富永には、個の力で違いを見せてくれることを期待したい。それは昨シーズンの実績に加え、より逞しくなった身体を見れば、過大な要求ではないことは明らかだ。