前半は苦戦も、後半は堅守から走る展開に持ち込みデンマークに快勝
バスケットボール女子日本代表は6月17日、デンマーク代表との強化試合3連戦の2試合目を実施。序盤こそ相手の高確率で決まる3ポイントシュートに苦戦しリードを許すが、第3クォーターに守備の強度を高め、トランジションからの3ポイントシュートで突き放し87-63で快勝した。
前日に行われた第1戦、日本は101-39と圧勝した。ただ、さすがに2試合続けてデンマークの外角シュートが全く入らないとは予想し難く、試合後の会見で恩塚亨ヘッドコーチが「昨日は大差のゲームでしたが、相手もアジャストしてきます。試合前のミーティングで今日は難しい試合になる、チャレンジだと言いました」と振り返った悪い予感が的中し、序盤は劣勢となった。
そこから後半に入って地力の差を披露し、最終的には大差をつけた試合を、指揮官はこう総括する。「出だしで相手にリズムをつかませてしまいましたが、よく我慢をして、後半にディフェンスのプレッシャーを起点にペイントタッチの数を増やし、粘り強くプレーして勝てたのは成長を感じられました。ただ、第2クォーターか第1クォーターの途中からもっと修正点に早く気づいてアジャストしていくことが今後の目指すところになると思います」
グループリーグ敗退に終わった昨年9月のワールドカップにおいて、日本は相手の激しいディナイなどで司令塔を徹底マークで潰されると、ゴール下へのアタックで守備を収縮させることができなくなり、ハーフコートオフェンスが壊滅的状況となった。この課題を改善すべく、今の代表はポイントガード以外でもドライブを積極的に仕掛ける姿勢が目立つ。さらにワールドカップではなかったポイントガードを同時起用するツーガードも採用し、アタックの選択肢を増やしている。
そして、恩塚ヘッドコーチが語ったディフェンスのプレッシャーとペイントタッチにおいて、存在感を発揮したのが宮崎早織だった。今回のアジアカップに臨む12名のメンバーには山本麻衣、本橋菜子、宮崎早織と3人の司令塔が選出されている。その内、山本と本橋は非凡な得点力が光る似ているタイプであり、必然的にツーガードの場合は宮崎と山本か本橋という組み合わせが多くなる。
その中で宮崎は、前から相手ガードに激しいプレッシャーをかけ続け、チームトップとなる4スティールを記録。また、オフェンスではスピードを生かしたドライブで何度も相手のゴール下へと侵入して守備を翻弄し、3アシストのスタッツ以上のインパクトをもたらした。
「我慢ができて後半に繋げられたのは大きな収穫だと思います」
「前半にリードを許してしまったのは相手のシュートが昨日よりすごく入って、自分たちのシュートが入らなかったことが1つのポイントかなと。ただ、そこで崩れず、後半に気持ちを切り替えてシュートを打てたこととディフェンスで40分間頑張り続けた結果が今日の勝因だと思います」
宮崎はこのように試合を振り返ると、自身のプレーについて次のように続けた。「今日もツーガードで出ることが多かったです。今まではあまりなかったですが、どういう使われ方になってもスピード、ディフェンスは自分の持ち味なのでそこを出していきたいです」
「自分の持ち味は足を動かすことなので前からプレッシャーをかけていく。他のガード陣がオフェンスにより集中できるように、自分がなるべくディフェンスで相手のガードを削っていけたらいいと思います」
9月のワールドカップは、宮崎自身もゴール下へのレイアップなど自ら積極的にシュートを打ちにいく場面が目立った。しかし、今回はどちらかといえば、チャンスメークを優先するようなプレー選択に見えた。この点を尋ねると、次の答えが返ってくる。
「オフェンスではペイントアタックが本当に大事になってきます。どんな時でも、これを続けてシューター陣にシュートを打ってもらうことで日本代表はリズムに乗っていけると思います。山本だったり、菜子さんと自分など得点を取りに行けるポイントガードはいます。私も行ける時は行きますけど、そうでない時は守備をかき回して良いところにパスを出せたらいいと思います」
今の日本代表は、ワールドカップで突きつけられた課題に真摯に向き合い、解決策をいろいろと生み出そうとしている。その中でも宮崎が最も痛感した課題は「気持ちです」と語る。「ワールドカップからたくさんのことを学びました。我慢しないといけない時間帯に我慢できなかったです。今日は強化試合ですけど、我慢できて後半に繋げられたのは大きな収穫だと思います」
いよいよ明日の試合が終わると、次の実戦はアジアカップとなる。6連覇に向けて「アジアカップでも一人ひとりが自分の役割をしっかり分かって、粘り強くバスケットをしていきたいです」と宮崎は意気込む。そして粘り強いバスケを遂行していくためには、宮崎の前から当たる密着マーク、何度もペイントタッチを繰り返すスピードに乗ったドライブが絶対に必要となってくる。