ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ

「今回はファンと一緒に優勝の瞬間を祝うことができた」

ナゲッツのケンテイビアス・コールドウェル・ポープは、優勝を決めたNBAファイナル第5戦で11得点4リバウンド2アシスト3ブロック2スティールを記録。突出した数字ではないが攻守に幅広く貢献できる彼のスタイルを示すものであり、そのいくつかは試合全体に影響を与える大事なものだった。

まずは試合の立ち上がり、頼みのニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーが入れ込みすぎてターンオーバーを連発し、開始1分半で0-5とスタートダッシュに失敗したところで、コールドウェル・ポープがジミー・バトラーのシュートをブロックし、リバウンドを取り、2本のシュートを決めてチームに立ち直るきっかけを与えた。

そして試合のラスト30秒、バトラーが攻めきれずにボールを戻そうとしたパスを読んでいてスティールに成功。勝利を決定付けるクラッチスティールから、重要なフリースローを2本決めてリードを広げた。「涙をこらえていた。同時に、とてもとてもハッピーだった」と、彼はこの時の心境を振り返る。

タイムアップの瞬間にボールを持っていたのも彼だった。最後のリバウンドを取った彼が時間を進め、タイムアップの瞬間に宙高くへとボールを放り上げた。優勝の喜びについて「前回とはまるで違うよ」とコールドウェル・ポープは言う。「3年前は隔離された会場で、チームだけでお祝いをしたんだけど、今回はファンと一緒に優勝の瞬間を祝うことができた。スタンドには家族がいて、勝った後にはコートに子供たちを招き入れることもできた。前回とはまるで違うよ。この経験ができて本当に良かった」

彼にとっては『バブル』の2019-20シーズン以来2回目のNBA優勝。ナゲッツには優勝経験がなく、他のどの選手にも優勝経験がない中で、前回はベテラン揃いのレイカーズにおいて若手だった彼が、若いナゲッツではベテランとして優勝への道筋を示した。

「このチームが特別なことは、2020年のプレーオフで対戦した時点で分かっていた。ナゲッツに来ることになってトレーニングキャンプに参加した時点で、その思いはさらに強くなった。だからこそ優勝しなきゃいけないと思っていたし、今夜こうして歴史を作った一員になれて興奮しているよ」

『Denver Post』によれば、コールドウェル・ポープはプレーオフに入ってから、ロッカールームに3年前の優勝リングを持ち込んでいたそうだ。レギュラーシーズンまではやらなかったが、優勝へのモチベーションを高めるためにリングを使った。指にはめてみる者、ただ眺めて自分のものになるのを想像する者とチームメートの受け止め方は様々だったが、それぞれのモチベーションアップに大きな効果があった。

その効果が明らかだったために、ナゲッツはファイナル第1戦を終えた後のロッカールームで全選手のリングの採寸を行ったという。「あとは勝ち取るだけ」という現実を知ることで、否が応でも気分は高まった。

ナゲッツはまだ成長の過程にあり、今後数年は優勝を狙える。このチームの今後を問われたコールドウェル・ポープは「自分を信じ、お互いを信じることができればきっと……」と語り始めたが、そこで頭からビールを注がれた。満面の笑みを浮かべたヨキッチに「はいはい、次は僕の番」と会見場から追い出されたのだ。

これも彼の言う『特別なチーム』の一部なのだろう。頭からビールをかぶった彼は幸せそうにロッカールームへと戻っていった。