フランク・ボーゲル

「努力と犠牲、団結。優勝したいなら自分たちでやるしかない」

フランク・ボーゲルがNBAに戻って来た。昨年4月にレイカーズの指揮官から解任された後、今シーズンを休養にあてた彼は、サンズの新たなヘッドコーチとして来シーズンから采配を振るう。

現地6月6日に行われた就任会見での彼は、新たな挑戦をスタートさせる気力に満ちていた。彼はサンズのフロント、妻と娘に感謝の言葉を述べた後、「サンズの新しい時代はエキサイティングなものになる」と高らかに宣言した。

「我々はチャンピオンシップレベルの人材を集めたチームで、私はここにチャンピオンシップレベルの文化をもたらしたい。ハードワーク、タフネス、インテリジェンス、チームワークを軸とする文化をね。優れたタレントを擁してはいるが、どの試合でも相手より激しく戦うチームになる。そして、この地域の誇りとなるようなチームを目指す」

「練習やフィルムセッションで、早い段階からその方針を示すつもりだ。シーズンを通して身に着けていくものの中での一番は、毎試合で相手よりもハードに、タフに戦うことだ。選手たちはトレーニングキャンプからプレーオフまで、それに取り組んでもらう。どのチームも同じことを目指すが、82試合でどれだけ習慣化できたかがプレーオフでの差になって出てくるんだ」

デビン・ブッカーとケビン・デュラント。リーグ最強クラスの得点力を持つデュオとの関係性を問われたボーゲルはこう話す。「デビンが初めてオールスターに出場した時のコーチが私だった。KD(デュラント)ともオールスターで話したのが最初で、当時まだ私はペイサーズにいたはずだ。これまで個人的な関係が深いわけじゃないが、彼ら2人だけでなく多くの人たちと話し合ってみて、我々の目指すものの多くが一致していることに興奮しているよ」

サンズに良い基盤を作ったモンティ・ウィリアムズの解任には異論も多かったが、それでも指揮官交代に踏み切ったのは、デュラント獲得によりスタープレーヤーを上手くコントロールし、最善の結果に導く手腕が必要とされたからだろう。ボーゲルはレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスを擁するレイカーズでNBA優勝を勝ち取った。

「レイカーズで彼らと接した経験から、スター選手と関係を築く博士号を得られたと思う」とボーゲルは言う。「彼らにはプランは提示するが、あまり多くのことは要求しない。高いレベルの仕事を求めると同時に、意見を言う機会を与える。そういった関係性がレイカーズでは上手くいったし、ここでも同じようにやれると思っている。チームのどの選手であっても、自分の役割や結果が良いと思えないのであれば、私はそれに対処したい。それはコミュニケーションから始まるものだと思っている」

そして、チームの軸に据えるべきか、トレードに出すべきかで評価が分かれるディアンドレ・エイトンへと質問が及ぶと、ボーゲルは迷うことなく「リーグで最高のセンターになれる選手だ。私は彼をオールスターレベルの選手に育て上げるつもりだ」と答えている。

ボーゲルは自分自身にとってサンズの最初の印象を「私はセブンティシクサーズのファンで、チャールズ・バークレーを応援していた。バークレーが移籍したのをきっかけにサンズにハマった」と話す。

「フェニックスは気候も良いし、素晴らしいスポーツの街だ。ここに来ることができて良かった。そして、この街のファンがNBA優勝を切望しているのは分かっている。このチームを始めて頂点へと導く可能性がある、そのことに興奮しているよ。NBA優勝には様々なことが自分たちの思うように進まなければならないが、このチームにはそのための基盤がある。運も必要だが、あとは我々の努力と犠牲、団結だ。それは自然に生まれるものではなく、優勝したいなら自分たちでやるしかない。ただ、私たちはそれをやれると信じているよ」