クリッパーズでGMを務めたマイケル・ウインガーが運営会社のCEOに
ウィザーズは直近の5シーズンすべてで負け越し、プレーオフ進出は1度だけ。その前の5年間では4度のプレーオフ進出、うち3度はカンファレンスセミファイナルに進んでいたことを考えると、深刻な低迷に陥っている。
この悪い連鎖を断ち切るため、オーナーのテッド・レオンシスはフロント刷新に踏み切った。ウィザーズで球団社長兼GMを務めてきたトミー・シェパードを解雇し、ウィザーズ、WNBAのミスティックス、Gリーグのキャピタルシティ・ゴーゴーの運営会社のCEOにマイケル・ウインガーを据えようとしている。
ウインガーはNBAのフロントとして長年実績を積んできた人物。キャバリアーズとサンダーでアシスタントGMを、この5年間はクリッパーズのGMを務めた。それでも彼はバスケ畑の人間というよりは、組織運営のスペシャリスト。その役割はあくまで運営会社のCEOであり、ウィザーズのGMは近いうちに新たに採用されることになる。ただし今は時間がない。まずはウインガー自らがNBAドラフトでの8位、42位、57位の指名権を有効活用し。契約交渉に臨むことになる。
シェパードは解任されたが、ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.は来シーズンもチームの指揮を執る予定だ。ただし、ロスターは大きく変わることになる。ウインガーが今シーズンのロスターをどう評価しているかは分からないが、35勝しか挙げられずプレーイン・トーナメントにも進めなかったチームに合格点を与え、継続路線を採用するとは思えない。
シェパードは大きな変化を望まなかったが、ウインガーはそれを厭わない。クリッパーズでカワイ・レナードとポール・ジョージを獲得したように、大胆なトレードを次々と成立させてきた。ブラッドリー・ビールを中心に、毎年少しずつロスターに変化を加えて勝てるチームを作ろうとしたシェパードが失敗した後だけに、大胆なチーム改革に乗り出す公算が高い。
エースのブラッドリー・ビールはあと4年の契約を残している。移籍の噂が何度も出ては立ち消えになったが、ウインガーはウィザーズにとって利益があると見れば躊躇なくトレードに打って出るだろう。ウィザーズへの愛着が強いビールの契約にはトレード拒否条項があり、どんなトレードの彼の同意がなければ成立しない。それでもウインガーが再建に乗り出せば、ビールの気持ちも変わるかもしれない。
クリスタプス・ポルジンギスとカイル・クーズマはプレーヤーオプションになっている契約最終年を破棄すれば今オフにフリーエージェントとなる。2人ともウィザーズ残留に前向きで、シェパードがチームを仕切っていれば波風が立つことなく新契約を結んでいただろうが、ウインガーは彼らに厳しい評価を下すかもしれない。ポルジンギスはウィザーズ移籍を機に復調したものの、ケガが多くて伸びしろも見込めないのに年俸3000万ドル(約41億円)に見合うのか。クーズマも現行の1300万ドル(約18億円)から大幅な昇給を求めるはずで、そこにはシビアな判断がなされるはずだ。
まだウインガーの就任は正式発表されていないが、その時には彼がウィザーズの再建プランを発表するだろう。結果が出ないにもかかわらずトレードには消極的で、低迷を続けてきたウィザーズにとって大きな変化のあるオフになりそうだ。