「大きなことを成し遂げられるチャンスもある」
今年7月にスパーズとラプターズの電撃トレードが成立した直後、来オフにフリーエージェントになるカワイ・レナードがトロントでプレーするのは1シーズンだけ、という意見が大半を締めた。今もレナードが地元ロサンゼルスの球団に移籍するという見方が強いが、ラプターズGMのボビー・ウェブスターは再契約は可能だと考えている。
新体制となったラプターズのここまでのプレーに満足しているウェブスターは、レナードのコンディションを良好に保つことが何よりも大事と言う。「一番大事なのは、彼の声に耳を傾け、コンディションをキープさせること。チームに加わった初日から、彼はコンディションが最も重要と言っていた。それを気にかけ、彼の意見を聞きながら、背中を押している。選手なら、これから先も良好なコンディションを保つために必要なことをしたいものだからね」
思えば、レナードがスパーズとの関係を悪化させた原因は、ケガの治療に関する見解の相違にあった。2017-18シーズン開幕前に右足四頭筋の腱を痛めたレナードは、昨年12月に復帰したものの、右足の状態が思わしくないとして再び戦線を離脱した。スパーズはエース不在の状態ながらも激戦区の西カンファレンスで生き延び、7位に滑り込んだのだが、レナードはポストシーズンでの復帰要請にも応じず、スパーズはファーストラウンドでウォリアーズに敗れた。
本当に出場できない状態だったとしたら、両者の関係性がこじれることもなかっただろう。だが、2018年のオールスターゲーム時期にチームのメディカルスタッフがレナードの復帰にGOサインを出しても、レナード個人のアドバイザーがニューヨークの医師の診断を持ち出して出場を拒んだ。レナードの『取り巻き』の影響があったというキナ臭い噂も出る始末で、指揮官グレッグ・ポポビッチとレナードの関係性が修復不可能な状態にまで悪化したとも報じられた。
ラプターズでのレナードは、休養日を設けながら今シーズン25試合に出場し、平均26.4得点、8.5リバウンド、3.2アシスト、1.8スティールを記録している。チームも、東カンファレンス首位を走っている。ウェブスターは、「NBAベスト」と自画自賛するチームのメディカルスタッフの力もあり、レナードが良好なコンディションを維持できているとも語った。
「コンディショニング、メディカルに関する部分でも彼の成長に繋がっているので、それは素晴らしいことだと思う。コートでも、彼とチームが成長し続けているし、今シーズンのチームには大きなことを成し遂げられるチャンスもある」
現時点では、レナードとラプターズのケミストリーは完璧に機能している。フリーエージェント選手にとって重要となる、優勝を狙えるチームであること、快適なプレー環境が整っていること、という2つの条件は揃っている。もしラプターズがカンファレンス・ファイナルの壁を超え、NBAファイナルまで勝ち上がることができれば、レナードも残留を決断するかもしれない。
コンディショニングに関する環境以外にも、ラプターズはレナードと再契約を結ぶ秘策を考えているのだろう。そのプランが成功すれば、来シーズンもラプターズのレナードが見られるはずだ。