「今回のシリーズではシクサーズがどれだけ努力してきたかを感じさせられた」
ネッツは0勝3敗で迎えたシリーズ第4戦を88-96で落とし、敗退が決まった。ジョエル・エンビードがケガで欠場したにもかかわらず、前半に優勢だった展開を第3クォーター途中でひっくり返され、終盤のほとんどの時間帯でリードを許して敗れたことは、チームの総合力で大きく劣っていたことを意味する。
ケビン・デュラントとカイリー・アービングを擁しながらセルティックスにスウィープ負けを喫した昨シーズンに続いての4連敗は、非常に重い現実としてチームにのしかかる。
デュラントとのトレードでシーズン途中にサンズから加入し、ネッツでエースの役割を果たしたミケル・ブリッジズは、このシリーズで平均23.5得点を記録。これはシクサーズのどの選手よりも高い数字だが、シクサーズはタイリース・マクシーが21.8得点、トバイアス・ハリスが20.3得点、エンビードが20.0得点、ジェームズ・ハーデンが17.3得点と、どこからでもオフェンスを決められる分厚い布陣だった。
「負けるのは辛い。ベストを尽くしたつもりだけど本当に苦しかった。この数試合、僕はチームを失望させてしまったように思う。だからロッカールームでは仲間たちに『僕のせいで負けた』と謝った」とブリッジズは言う。彼が全身全霊を傾けてネッツをここまで引っ張ったのは間違いなく、チーム内で彼を悪く言う者は一人もいない。それでも彼は敗退を重く受け止め、ショックを隠せなかった。
それから一夜明け、シーズン最後の会見に臨んだブリッジズは落ち着きを取り戻しており、NBAで初めて経験したトレードからの数カ月間をこう総括した。
「トレードがあって新しいチームに馴染むのは大変だったけど、それも戦いの一部だ。良かったのは全員が前向きに取り組んだこと。問題を解決しようとするたびに、僕らそれぞれが常にチームにとって何が最善なのかを考えた。難しい挑戦だったけど、全員がかなり上手くやれたと思っている。全員のメンタリティ、エネルギーが素晴らしかった」
サンズでの彼はディフェンスが売りの選手で、オフェンスはクリス・ポールやデビン・ブッカーが引っ張る中で自分の役割をこなせば良かった。それがネッツに来たことでオフェンスのファーストオプションとなった。今シーズン前半戦には17.2だった得点がネッツでは26.1に激増し、フィールドゴール試投数も13.6から18.6に伸びている。しかし当然、一番厳しいマークを彼が引き受け、重い責任を背負うことになる。
「トレードもそうだけど、役割が変わったのも僕にとっては挑戦で、難しいと感じたこともある。だけど、挑戦は学びの機会であり、苦労した分だけ成長できる。僕にとっては新しい仲間と知り合い、新しい友達を作ることができた。僕にとってはそれが最も重要なんだ」
シクサーズとのプレーオフも、彼にとっては挑戦と学びの機会だった。「僕らはチームに一番適したオフェンスとディフェンスを見付けようと頑張ってきたけど、今回のシリーズではシクサーズがどれだけ努力してきたかを感じさせられた。全員が勝ちたいという気持ちを持って、互いに助け合ってプレーする良いチームだったよ」
それに負けないチームを作るのがブリッジズの新たな目標だ。彼にはあと3シーズンの契約が残っており、ネッツがチームを再編するにせよ、現状の延長線上で行くにせよ、攻守において中心選手であり続けるだろう。「今回の夏も例年と変わらず、もっと上手くなるために練習するよ。自分のコアとなる部分は変えずに、新しい武器を増やしたい。僕にとって大事なのは毎年向上し続けて、最終的に自分がなれる最高の選手になることだ」