田臥勇太「どう成長しているのか敵ながら楽しみでした」
現在、B1に所属する選手の中で最年少は津山尚大だ。今年20歳の新成人。福岡大学附属大濠で世代屈指のスコアラーとして活躍した後、2015年1月に地元のゴールデンキングスへと入団。特質すべきはずっとベンチに座っているわけではなく、しっかり戦力の一人として試合で起用されていることだ。
ここまで津山について、よく健闘しているとの声は少なくない。それは日本代表の重点強化選手に選出されていることからも明らかだ。例えば栃木ブレックスの田臥勇太も、12月10日、11日と琉球と対戦した際、「個人的に津山くんは高校の時からウインターカップで知っていて、どう成長しているのか敵ながら楽しみにしていました。自分が高校卒業してすぐプロの世界に入って、彼のようにやれていたかといえば分からないです。ミスを恐れないで頑張ってほしい」と述べている。
だが、本人はここまでの出来について「全然、満足する結果を残せていません」と厳しい評価を下す。津山と言えば、一番の特徴は非凡な得点能力。しかし、今シーズンは持ち味である3ポイントシュート成功率がなかなか上がってこない。この課題を改善するためには、外だけでなく、中へのアタックが重要になってくると考えている。
「Bリーグとなり、旧NBLの強豪はプレッシャーが今までと比べて強く、外で簡単に打てる機会がないです。だからこそもっと、インサイドにも攻める。相手にドライブを警戒させることができれば、外も打ちやすくなります。外からシュートが一発入れば、自分の中でリズムをつかむことができる。それだけにもっと確率を上げていきたいです」
「課題は分かりやすいので、そこを改善していけば」
「また、ボールのもらいかたについて、より意識を高めていく。練習からもっと試合の時のように動きながらシュートを打っていく必要があります。ただボールを待っていてシュートというのは本当にノーマークの時だけ。動きながらシュートを打つことをさらに強く意識しないといけないです」
このように反省点を多く語る津山だが、一方で当初は高卒でプロ入りし、すぐに出場機会をつかめるとは考えていなかった。そして、現在は苦しい状況にあるが、課題は明確なだけにそれを改善していくだけと、前向きな姿勢で日々の練習に取り組んでいる。
「プロ入り前に予想していたよりはプレーできています。もっとプレッシャーに負けてしまい、全然シュートを打てない状況になるかとも思っていました。スピードでは通用する部分もありますが、高さとフィジカルで劣っている。課題は分かりやすいので、そこを改善していけばもっと戦えます」
「一番はフィニッシュ力と、もっと基礎的のレベルを上げていくこと。高校まではボールをキープすることは簡単でしたが、今は相手も身体が大きく手も長いので、しっかりボールを突いている逆の手でカバーするなど、基礎的な部分を向上させないといけないです」
『歴史的開幕戦』からここまで全試合に出場している津山だが、プレータイムはまちまち。20分以上の出場が続いた時期もあれば、コート上にいた時間が10分に満たない試合もある。前節の大阪エヴェッサとの連戦で初めてスタート起用されたが、プレータイムは13分、9分と短かった。
「何かしら僕に理由があります。それを反省して、克服していく」と津山は言う。「今は課題に対して、我慢強く取り組んでいけばもっとよいプレーヤーになれる自信はあります。うまくいかなくても、フラストレーションを溜めずにポジティブにいこうと思います」
福岡大学付属大濠の恩師2人に『日本一』の姿を見せたい
コート上では「年齢は関係ありません」と語る津山だが、コートを離れると「先輩方がチームの荷物を持っていたら自分が手伝います。チームで食事にいく時は、自分が注文を取るようにしています」と、チーム最年少としての立場は意識している。
ちなみに琉球はチームとして、彼が大学に進んだ場合に先輩たちから教わるであろう一般常識であり作法をしっかり教えていくことを重視している。津山が社会人として恥ずかしくない振る舞いをできるようにコート外でも育成していくのは、高卒で彼を受け入れたからこその『責務』だと考えている方針も影響しているだろう。
ただ、「年齢は関係ない」と言う津山にも、同世代の選手たちについてはやはり意識する部分がある。「大学で活躍している選手たちについては敬意を持っています。それでも自分はもうプロの世界でやっているわけで、これから同世代の選手たちがプロの世界に入ってきた時、彼らを打ち負かせるようにやりたいです」
現在、黒星先行と苦しい状況になっている琉球だが、津山はシーズン後半戦の巻き返しに向けた意気込みを語る。「チームにとって、個人としてもタフな状況ですが、常に自分らしくプレーし、チームに勢いを与えられる選手になる。去年はただ思い切ってやるという感じでしたが、今シーズンが終わるまでには、もっと安定感のあるプレーもできるようになりたいです」
最後に津山といえば、ウインターカップでの活躍がまだ記憶に新しい。今年もウインターカップに挑む母校の福岡大学付属大濠の後輩たちには、「常に勝たなければいけないと見られている高校です。プレッシャーを感じないでプレーするのは厳しいと思うので、プレッシャーを感じつつも自分たらしくがむしゃらに思い切ってプレーしてほしいです」とエールを送ってくれた。
そして監督の片峯聡太、総監督の田中國明の2人の指導者への感謝をあらためて強調した。「僕がプロに行けたのも片峯監督、田中総監督の支えがあったからなので、2人を胴上げしたいという思いで必死にプレーしていました」
もっとも、津山の『代』は決勝で2点差で敗れ、準優勝に終わっている。「悔いは残りました。でも、その悔しさをプロで晴らすこともモチベーションの一つになっています。去年、(bjリーグのファイナルズで)優勝した時、会場に2人を招待しましたが都合が合わずに来られませんでした。今度はBリーグの優勝決定戦に進んで、もう一度2人を招待し、高校の時にできなかった日本一を見せることが目標です」