CJ・マッカラム

ケガ人続出のペリカンズ「必要なのは全員がプレーできる状態であること」

ペリカンズはプレーイン・トーナメント初戦でサンダーに敗れ、アップダウンの激しいシーズンを終えた。シーズン序盤はザイオン・ウイリアムソンが大活躍してリーグに旋風を巻き起こしたが、年明けすぐにハムストリングを痛めると、そのまま最後まで復帰できなかった。こちらもケガに苦しんだブランドン・イングラムが次第に調子を上げたことでチームは立ち直り、レギュラーシーズンのラストを9勝3敗とプレーオフ進出に意地を見せた。こうして迎えたプレーイン・トーナメントでも、調整を続けてきたザイオンの復帰は間に合わず、ホセ・アルバラードもラリー・ナンスJr.も欠場。最後は接戦の終盤に戦術的キーマンのヨナス・バランチュナスがケガをして、競り負けることとなった。

チームの実力を出し切れないままのシーズン終了に誰もが気落ちしていたが、一番はCJ・マッカラムだ。彼はルーキーだった2014年から去年までの9シーズンすべてでプレーオフに出場している。その舞台に立つために努力し、苦しむことはあっても、常に出場し続けてきた。

31歳のベテランは82試合中75試合でプレーしたが、コンディションが万全だったわけではない。「月曜に診察を受けるけど、すぐ手術になると思う」と彼は言う。右手親指の靭帯を痛めたのは3カ月前のことで、ずっとサポーターを着けてプレーしてきた。シーズン終盤には右肩を痛め、唇の裂傷も負っており、万全どころか満身創痍だ。これまでケガについて黙ってきた彼は、シーズン最後の会見で自分の状況を説明した。

「親指は手術が必要だったけど、チームをプレーオフに連れて行くには休むわけにはいかなかった。最初に医師と話し合い、手術を遅らせても将来的な影響がないと確認できたから、できるところまでプレーすることにした。肩の痛みはなぜ出たか分からないけど、親指の影響もあると思う。僕はチームのためなら何でもする選手だ。すぐに手術することもできたけど、そういうタイプじゃない。パフォーマンスに影響はあったと思うけど、言い訳はしない。自分のベストを尽くして、見本を示そうと努めたんだ」

ケガ人続出のペリカンズでマッカラムまで離脱していたら、シーズンは早々に終わっていただろう。ザイオンは29試合、イングラムは45試合にしか出場していない。マッカラムを含む3人が一緒にプレーしたのは、たった10試合だった。

それでもマッカラムには、言い訳をしないのと同時に『やりきった』という思いもある。「ケガは大きな問題だったけど、残ったスタッフや選手は常に成長を続け、チームを良くする姿勢を持って戦っていた。このチームが2017年以来に勝率5割を超えて、最後までプレーオフ進出の可能性を追い掛けられたのは、その姿勢があってこそだ。成功は収められなかったけど、人生はしばしばこうなるものさ。残念だけど勝者がいれば敗者もいる。大事なのはここから何を学んで前進するかだよ」

「このチームが成功をつかむには、みんな一緒にプレーする必要がある」とマッカラムは続ける。「コアメンバーが揃った試合が少なすぎて、ケガの問題を改善する以外に何をすべきかははっきりとは分からない。とにかく必要なのは全員がプレーできる状態であること。コート外での準備や治療、適切な睡眠、水分補給に食事など、すべてが大事になる。全員がプロ意識を持ち、パフォーマンスを追求する仕事をやっていることを今まで以上に理解するんだ。特に若い選手にとっては、一貫した成功を築くためのルーティーンを持つことが重要だ。まずそれを実現しなきゃならない」

マッカラム、ザイオンとイングラムの契約は残っており、ペリカンズは今の体制を維持したまま新シーズンに臨むと思われる。この3人に加えて、彼らの良さを引き出せるバランチュナス、ハードなディフェンダーのハーブ・ジョーンズ、シューターのトレイ・マーフィー三世、ロスターに厚みをもたらすナンスJr.にアルバラード、ナジ・マーシャル……。主力の顔ぶれを見る限り、ペリカンズはもっと上を目指せるはずだが、マッカラムの言うようにコアメンバーが揃った試合が少なすぎる。新シーズンを万全のコンディションで迎え、そのポテンシャルがどれほどのものかを見せてもらいたい。