超短期決戦ではエースがスターパワーを発揮できるかが重要に
シーズンが終わる最後の瞬間まで順位が定まらなかった西カンファレンスでしたが、ティンバーウルブズがペリカンズとの接戦を制し、8位シードを手にしました。これでプレーイン・トーナメント初戦が7位レイカーズとの対戦になったのは皮肉なものがあります。
ルディ・ゴベアを獲得するために放出したジャレット・バンダービルトとマリーク・ビーズリー、ここにディアンジェロ・ラッセルを含めた3人がデッドラインのトレードで加わると、そこからレイカーズの快進撃が始まりました。内容としては多すぎたハンドラーが整理され、ハードワーカーが増えたことによるものですが、レイカーズを強くしたのは紛れもなくウルブズの判断でした。
一方で今シーズンのウルブズはカール・アンソニー・タウンズとゴベアのツインタワーを中心とした新たな体制が全く機能せず、タウンズがケガで離脱するとチームは上昇し始めました。最終戦もタイムアウト中にゴベアがチームメートのカイル・アンダーソンを殴る事件が起きるなど、何のためのトレードだったのか溜め息ばかりが漏れる状況です。
ペリカンズとの接戦を制する決め手となったのは、追い込まれた中で発揮されたアンソニー・エドワーズが放つスーパースターの輝きでした。CJ・マッカラムのドライブを逆サイドのコーナーからヘルプにきて叩き落とし、カウンターから一度はミスを喫しながらも、手元にボールが戻ってくるとバスケット・カウントで試合を決めました。まるですべてがエドワーズのためにお膳立てされていたかのようなプレーは、スーパースターの運命にも見えました。
言うまでもなくレイカーズには、史上最高のスーパースターであるレブロン・ジェームスに加え、獅子奮迅の活躍でチームを引き上げたアンソニー・デイビスがいます。そんなスーパースターコンビでもチーム戦術が機能しなければ勝てないことが示された今シーズンでしたが、プレーイン・トーナメントへの出場すら危うい状況まで追い込まれてから見せた集中力は格別のものがありました。
1試合ですべてが決まるプレーイン・トーナメントに駆け引きをする余裕はなく、エース中心の戦いになりがちです。ジェイデン・マクダニエルズが骨折で、ゴベアはチームから処分を受けて欠場することもあり、ただでさえチームの空気が悪い中で試合前から追い込まれているウルブズですが、思い起こせば1年前のプレーインでもタウンズのファウルアウトから逆転勝利しており、土壇場でエドワーズ中心にチームがまとまり大きな力を発揮するのもウルブズらしさです。
レイカーズとウルブズはともに当初の想定から大きく離れたシーズンを過ごしてきました。それでも最後にスーパースターが力を発揮し、強引にでもチームを修正してプレーインにたどり着いた感があります。レブロンとデイビス、そしてエドワーズ。超短期決戦でチームに勝利をもたらすのは誰なのか、楽しみな戦いが始まります。