ブランドン・イングラム

ペリカンズは直近の8試合で7勝、プレーオフへと突き進む

レギュラーシーズン最終盤まで混戦の続く西カンファレンスで、6位のクリッパーズと7位のペリカンズが対戦した。両者は昨シーズンにプレーイン・トーナメントで対戦し、その時はペリカンズが勝ってプレーオフへと進んでいる。どちらも今考えているのは、プレーイン・トーナメントを回避して6位でプレーオフに進むことだ。

残り試合数も少ない今、この直接対決は6位争いに大きな意味を持つ。クリッパーズがカワイ・レナードを連戦に出場させたのは、それだけ重要な一戦だったからだ。そのカワイは41分出場とフル回転して40得点を挙げたが、それ以上のインパクトを残しチームを勝利に導いたのは、ペリカンズのエース、ブランドン・イングラムだった。

試合後のイングラムは「最高の選手になるには、最高の選手を倒さなきゃいけない。今日はずっとそう考えていた」とカワイへの対抗意識を語る。カワイが良いプレーを見せれば、すぐにイングラムもやり返す。そうすることで第3クォーターまでリードチェンジ18回という激戦になったが、ペリカンズは1点リードで迎えた第4クォーターの12分間、リードを守り通して122-114で勝利した。

イングラムは39分のプレーでフィールドゴール23本中13本成功、フリースローも11本中10本を決めて36得点、さらに8アシストを記録し、ターンオーバーはわずか1。クリッパーズの指揮官タロン・ルーは「イングラムには何度もディフェンスで仕掛けたが、そのたびに上手くやられた」と脱帽する。

ペリカンズが3点リードで迎えた第4クォーター残り4分半から、イングラムは4本連続でミドルジャンパーを決める。クリッパーズはピック&ロールに対してイビツァ・ズバッツがリム付近まで下がって対応したが、イングラムはその手前から迷いなくシュートを放った。その後はブリッツに対して冷静にパスをさばいてトレイ・マーフィー三世の得点をアシスト。この一連のプレーでペリカンズが勝利を引き寄せた。

クリッパーズ守備陣から見ればイングラムに得点期待値の低いシュートを打たせたはずなのだが、それを次々と決められた。カワイは「今日のイングラムは素晴らしかった。あんなプレーをされたら褒めるしかない」とコメントしている。

イングラムは自分のプレー選択について「コート上で何が起きているかをよく見て、強引にプレーしないように。チームにとって最善のシュートを探りながら、自分でリムを攻めるアグレッシブさも失わないように意識している」と説明し、こう続けた。「最近は相手の注意が僕に集中していて、自然と良い判断を意識する。自分でアタックに行く時も、常にパスの選択肢を探っているよ。警戒されていても、僕は一人でプレーしているわけじゃない」

「このところ、すごく良いメンタリティでコートに立てている。自分のやるべきことが分かっていて、良いチャレンジができていると思う。それは試合の準備でも同じで、オフェンスの質を高めるために相手の映像をすごく見ているし、どのシチュエーションでどう対処すべきかを繰り返し練習している。言ってしまえば、僕に2人のディフェンスが付いた時点で、どこがオープンになるか僕らは分かっているんだ」

ゲーム終盤には勝利を確信したファンから「MVP!」のコールも起きた。そのことを振り返り、「素晴らしかったね。その夢を実現するには、まだまだやるべきことがたくさんあるから、努力し続けるよ」とイングラムは言う。

ザイオン・ウイリアムソンが長らく不在のままだが、ペリカンズは死んではいない。それどころか直近の8試合で7勝と、リーグで最も好調なチームの一つだ。「僕はチームメートを信頼しているし、みんなも僕を信頼してくれる。ただゲームの流れを感じながら、ベストを尽くせばいいと思っているよ」。そう語るイングラムに引っ張られ、2年連続のプレーオフに向けて今まさにペースを上げている。