チャールズ・ジャクソン

後半だけで14得点を挙げ、逆転勝利の原動力に

横浜ビー・コルセアーズが3月26日、ホームで信州ブレイブウォリアーズと対戦。最後まで粘り強いディフェンスを継続することで後半を圧倒し、84-74で逆転勝利を収めた。これで横浜BCは同地区対決で価値ある連勝を達成。さらにサンロッカーズ渋谷も敗れたことで、中地区3位のSR渋谷とは7ゲーム、4位の信州とは8ゲーム差と、Bリーグ誕生以降ではチーム初のチャンピオンシップ進出へ大きく前進している。

試合の立ち上がり、横浜BCは連携ミスなどもあり、シュートで終われないポゼッションが多く攻撃でリズムに乗れない。そして、信州の連動したボールムーブからのオフェンスを止められず5-14と出遅れてしまう。だが、ここから横浜BCは、ディフェンスのプレッシャーを高め、森井健太やパトリック・アウダといったセカンドユニットの奮闘で盛り返していく。

しかし、第2クォーターになると、ハンドラーの岡田侑大が切り崩し、アンソニー・マクヘンリーが阿吽の呼吸で合わせてくる信州のオフェンスに苦戦。このクォーターで2人に計15得点を奪われてしまう。また、オフェンスではエースの河村勇輝になるべくボールを持たせないようにする信州の狙いを絞った守備に対処し切れず、前半で10点のビハインドを背負ってしまう。

だが、第3クォーターに入ると前半は不発に終わっていたチャールズ・ジャクソンのゴール下をうまく織り交ぜることで流れを引き寄せる。また、ディフェンスリバウンドからの速攻と、得意の展開に持ち込むことで河村がしっかりとボールに絡めるようになった。この結果、河村はこのクォーターだけで13得点を挙げ、横浜BCが2点差まで追い上げた。

第4クォーターに入っても横浜BCの勢いは続く。河村を起点にジャクソン、そしてパトリック・アウダのインサイドアタックで得点を重ねる。さらに大庭岳輝が値千金の3ポイントシュートを決め、残り約5分で74-67とリードを奪う。その後、信州の粘りに遭うが、最後まで横浜BCのペースで続き、残り1分半に河村のステップバックシュートでリードを8点に広げて勝負を決めた。

チャールズ・ジャクソン

「DFを頑張れば、良い流れでOFに繋がることは共通認識としてあります」

本日、横浜BCのジャクソンは17得点12リバウンド3アシスト2スティールを記録。特に後半だけで14得点と、後半で49−29と大差をつける立役者となった。

「前半は自分たちのバスケットボールをできている時間帯が少なかったですが、後半は助け合いを意識してディフェンスを締めることができました。本来の自分たちのバスケットボールを見せることができて良かったです」

このように試合を総括するジャクソンは、前半でフィールドゴール試投数1本の3得点から、後半はゴール下で得点を量産できた要因をこう分析する。「前半は自分の欲しいタイミングでパスをもらえなかったですが、後半はチームメートが早いタイミングでパスを出してくれました。僕を信じてボールを集めてくれた仲間の期待に応えようとプレーしました」

ジャクソンは得点に加え、一番の持ち味であるリバウンドなど守備でも見事な活躍だった。また、第1戦を63失点に抑えたように、今週末の横浜BCはチームとしてもディフェンスでしっかり我慢し、自分たちのスタイルを貫いての勝利とあって内容的にも充実したものとなった。

振り返れば水曜ゲームのシーホース三河戦で、横浜BCは89-90と自分たちの根幹であるタフなディフェンスを全くできずに敗れている。点差だけを見ると惜敗だが、青木ヘッドコーチは内容に大きな危機感を感じていたという。「あの敗戦は受け入れて前に進むモノではなく、受け入れられない試合だったと選手たちに伝えました。自分たちがやってきたことを遂行して負けたのであれば、次はこうしようと話して挑戦できると思います。やるべきことを見失ったまま40分間過ぎてしまいました」

ジャクソンも指揮官と同じ思いだったと語る。「水曜日は勝つべき試合で敗れてしまいました。ベストを尽くし、自分達のバスケットボールをできたのなら、負けを受け入れもっとチームを良くしようと前に進めます。しかし、自分たちのベストを出せずに負けたので腹立たしいものでした。だからこそ、今週末の試合がどれだけ大事かは頭に入っていました」。そして正念場となる今週末、「ディフェンスを頑張れば、良い流れでオフェンスに繋がることは共通認識としてあります」と語るように、自分たちのやるべきことをできたと続けた。

この試合、ホームの横浜国際プールには超満員となる5,005人が詰めかけた。マスク着用だが、声出しが解禁となったことで会場はこれまでにない熱気に包まれ、横浜BCに大きなアドバンテージをもたらした。ジャクソンは大歓声の中でプレーできたことに「気分は良いですね」と笑みを見せる。「ファンの皆さんはより試合を楽しめるようになったと思います。これまで手を叩くことしかできなかったのが、よりアクティブになり、プレーに対して一喜一憂して試合により関与できるようになりました」

そして、次のように声援の効果を強調する。「ファンの皆さんの声を聞けて、とてもハッピーです。皆さんの歓声、叫び声、クラップとあらゆる反応が僕に多くのエネジーを与えくれる。そのおかげで僕はよりハードにプレーできます」

シーズン終盤で疲労が溜まる中、4月は水曜ゲームが3試合と過酷なスケジュールが待ち構えている。横浜BCが川崎ブレイブサンダースとのマッチレースを制し地区優勝を果たすには、身体を張ったプレーで横浜BCのディフェンスを支えるジャクソンがハードワークを維持できるかどうかに懸かっている。それでも、ファンの声援を得られる今なら、ジャクソンはこの過酷なミッションを達成できるはずだ。