「僕たちが勝つには、第4クォーターで勝負を決めないと難しかったと思います」

3月22日の水曜ゲーム、茨城ロボッツはアウェーでアルバルク東京と対戦。第4クォーター残り2秒に同点シュートを決めオーバータイムに持ち込む粘りを見せたが、最後に地力の差を見せつけられ76-86で惜敗した。

試合は第1クォーターから相手のシューター陣に激しいプレッシャーをかけることで、外角シュートを抑えた茨城が15-9と先行する。第2クォーター以降はA東京のインサイド陣に得点を許すが、チェハーレス・タプスコットを中心としたゴール下への積極的なアタックで応戦。互角の勝負を演じた茨城だが、オーバータイムではフィールドゴール8本中1本成功とオフェンスが沈黙して敗れた。

茨城の山口颯斗は、33分15秒のプレータイムで12得点4リバウンド2アシストを記録。試合序盤に持ち味のドライブを2本連続で決めて、チームに流れをもたらした。また、息詰まる攻防となった第4クォーター中盤には、3ポイントシュートとドライブから連続得点を挙げるなど要所での得点力が光った。

「第3クォーターまでリードしていたのに、第4クォーターの頭に連続得点を許してしまったのがもったいなかった。また、終始、(セバスチャン)サイズ選手のリバウンドとインサイドを止められなかったです。僕たちが勝つには、オーバータイムではなく第4クォーターで勝負を決めないと難しかったと思います」

このように激闘を振り返った山口は、自身のプレーについても反省を口にする。「個人としてターンオーバーが多かったです。インサイド陣がリバウンドで頑張っていたのを助けられなかったところは課題です」

山口颯斗

「チームのシステムにも慣れてきて、気持ち良く3ポイントシュートを打てています」

ただ、一方でポシティブな面もあった。この試合でも目立った力強いドライブに関しては、次のように手応えを語る。「ドライブは1つの強みと思っています。そして、オフシーズンから積んできたトレーニングは時間こそかかりましたが、ようやく実っているかなと思っています」

これまで磨いた成果を出せたのは、試合を重ねることで周囲とのケミストリーが高まっているためだ。さらに、3ポイントシュートを積極的に狙っていることも好影響をもたらしている。「今シーズンから加入したので、シュートのタイミングに関して最初は難しかった部分がありました。ただ今は、チームのシステムにも慣れてきて、気持ち良く3ポイントシュートを打てています。それも、ドライブ力が上がってきていることに関係していると思います」

この試合はオーバータイムだったとはいえ、山口はここ4試合の内、3試合で30分以上に出場。その3試合すべてで2桁得点と、名実ともに茨城の中心選手として存在感を増している。そして、得点だけでなく「外国籍選手につくなどディフェンス力も評価されていると思っています。リバウンドも含め、オールラウンダーとして助けたいです」と、攻守の両方で貢献することを強く意識する。

茨城は3月19日の広島ドラゴンフライズ戦でも、83-87と惜敗。強豪相手に続けて接戦を繰り広げたことは、チームの確かな成長だ。その上で、難敵から勝利をつかむために求められるものを山口はこう考える。

「広島さん、アルバルクさんに比べるとウチは高さがないので、やはりリバウンドで負けてしまっています。少し負けても仕方ないところですけど、その分もっとアップテンポでスピード感のあるバスケットをしないといけない。また、今日はターンオーバーを相手の倍出してしまうなど、あと一歩の詰めが甘いです。全員がもう少し成長していくことで、強豪相手に勝てるチャンスがもっと出てくると思います」

そして、「チームがもっと勝っていくには、自分がもっと貢献しないといけない」と何よりも自分に矛先を向けている。「今日、第4クォーターで決めた2本のシュートは良かったですが、その後はオーバータイムも含めてチームに迷惑をかけてしまいました。そこで自分がもっとチームを引っ張ることができれば、試合に勝てたと思います」

大学時代から定評のある非凡な得点力、外国籍ウイングにもマッチアップできるフィジカルを備えた守備力を武器に、山口は茨城で着実にレベルアップを果たしている。そして、中心選手として大きな責任を背負う覚悟を持つことで、その成長速度はさらに増している。