古川孝敏

残り12秒に勝負を決めるシュートに成功「前を向いてアタックすることが大事」

3月18日、3連敗中の秋田ノーザンハピネッツはホームで横浜ビー・コルセアーズと対戦。第3クォーターまでリードするも引き離せない展開が続いたが、第4クォーターの勝負どころで連続得点に成功し、残り2分にこの日最大となる12点差をつけた。そして、このリードを守り切り、84-80で勝利した。

秋田は、横浜BCの長所であるファストブレイクからの得点を8点に抑えた堅守が光り、10スティールを記録。チーム全員がトランジションディフェンスを徹底したことで、相手のターンオーバーから17点を積み上げ、今シーズンの平均78.7得点を上回る得点力を発揮した。チームの指揮を執るケビン・ブラスウェルアシスタントコーチは、次のように試合を振り返る。「ターンオーバーからの得点は今シーズン力を入れているところです。でも、そこをフォーカスしたからといって結果が出たというわけではありません。インテンシティだったり、勝ちたいというメンタリティを選手たちが出したことで、こういった数字に表れました。まだ直さないといけないところはありますし、ターンオーバーからの得点もさらに効率良く取ることができると思います」

この試合ではフィールドゴール成功率が34.7%(75本中26本成功)とやや低調に終わった。しかし、「アグレッシブにシュートを打てていることが良かった」とケビンコーチは選手たちを称賛し、こう続けた。「この前の群馬(クレインサンダーズ)戦ではシュートを迷ってしまいターンオーバーが出てしまいました(22ターンオーバー)。でも今日は消極的にならずに狙い続けて、ターンオーバーは6個でした。確率が悪くても打ち続けることを選手たちには言い続けたいですし、入らなくてもオフェンスリバウンドに繋がるかもしれません。今回はチーム全体で(オフェンスリバウンドが)17本も取れているので、これからも打ってほしいです」

試合を通してチーム全員がシュートを狙う姿勢を崩さなかったことで、オフェンスリバウンドや勝負どころの得点に繋がった。チームハイの22得点を挙げた古川孝敏も、第3クォーターまで3ポイントシュートに当たりが来ず苦しんだが、第4クォーターに3ポイントシュートや得意のプルアップなどで7得点を挙げ、チームを勝利に導いた。古川は言う。

「ボールを持っている選手が弱気にならずに、しっかりと前を向いてアタックすることが大事です。アタックしたことでファウルも誘えましたし、ミスを恐れずにみんながシュートを打つことができたのも良かったです。また、シュートで終えたことでターンオーバーも少なかったです。ここまでターンオーバーから相手にやられてしまう展開が多かったので、そういう意味でも良かった部分だと思います」

古川をステップアップさせたケビンコーチの言葉

積極的な姿勢を見せたことで連敗ストップに繋げた秋田。ケビンコーチは今回の試合前に古川へ、「ステップアップしてプレーしなければこのチームはうまくいかない」と言葉をかけたことを明かした。そして、古川を中心に選手たちは連敗中の消極的なメンタルを払拭し、横浜BCとの点の取り合いを制した。ケビンコーチは古川らベテラン選手に期待することを次のように話す。

「(古川が)メンタルを変えて今日の試合で活躍してくれたことをすごくうれしく思います。これから19試合しか残っていないですが、ベテランはベテランらしくリーダーとしてプレーしてもらいたいですし、そうしないと勝つことは難しいです。今後もパフォーマンスを上げてもらいたいと思います」

ケビンコーチの言葉を受けて、今回の試合では主に得点面でリーダーらしい姿を見せた古川は、シーズン終盤戦に向けてこう語った。「ステップアップする意味では、個々が自覚と責任を持ち、チームのやりたいことの中で最大限のプレーを出す気持ちを持って戦うことで良くなっていくと思います。今後は、良い感覚を持って下を向くことなくプレーしたいです。自分たちはどうしても良くない時間になると、引きずってしまうことがあるので、良いところに目を向けて戦えるようにチームが成長することが大事だと思います」

また、古川だけでなく秋田の選手が今シーズン度々口する『共通認識』の完成度について問うと、次のような答えが返ってきた。「もっと良くなる要素はあると思います。完璧にすることは難しいですが、まだまだ良くなれる点はあると思います。悪い意味ではなく、もっとしっかり作っていける部分はありますね」

シーズン終盤戦で、古川を中心に『共通認識』の完成度を高めることができれば、自ずとチームは洗練され結果もついてくるはずだ。