OG・アヌノビー

目指すはプレーオフ「ここで勝って勢いを付けたかった」

現地3月14日、ナゲッツは敵地でラプターズに敗れ、シーズン最長の4連敗を記録した。西カンファレンス1位が当確となった途端の失速に指揮官マイケル・マローンは憤慨しており、「ここまでが順調すぎたのかもしれない。成功が簡単に手に入るものだとナメてかかっている」と語った。

ナゲッツはメンタル面で課題を抱えているかもしれないが、この試合ではラプターズの良さが光った。いまだ33勝36敗と負け越しており、プレーオフへのストレートインとなる東カンファレンス6位までは6ゲーム差と手が届きそうにないが、プレーイン・トーナメントに向けてチームは勢いを増している。

試合序盤からシュートタッチが良く、第1クォーターだけでフィールドゴール28本中20本の49得点を叩き出し、19点のリードを奪ったラプターズが序盤から優位に立ったが、72-56で迎えた前半終了間際にスリリングなシーンがあった。ボールのないところでパスカル・シアカムとアーロン・ゴードンが小競り合いを起こし、レフェリーが試合を止めても収まらず、両者にテクニカルファウルがコールされたのだ。

ラプターズは先週、バンブリートが審判を批判して罰金を科されたばかり。判定を巡る問題には誰もが敏感になっている。前半終了のブザーが鳴ると、勝っているにもかかわらず選手たちは憮然とした表情でコートを去った。

それでも、後半もストレスを抱えてプレーしたのはナゲッツであり、ラプターズは試合が進むにつれプレーを楽しめるようになった。36得点を挙げたバンブリートは「良いディフェンスがあって、良いシュートチャンスを作って、その積み重ねで良いリズムを作ることができた」と話す。

そういう意味で、最初に良いディフェンスを遂行したOG・アヌノビーをバンブリートは称えた。「(ニコラ)ヨキッチを抑えられるディフェンダーが何人いるか分からないけど、ほんの少しなのは間違いない。彼はそれができる選手だ」

そのアヌノビーは「充実していたよ」と笑顔を見せる。彼はバンブリートに次ぐ24得点を記録していたが、試合を終えて会見に出ていても自分が何点取ったかを把握していないと言う。「ディフェンスにはスタッツがない」というのがアヌノビーの言い分だ。

「だって、最低限これだけしか点を取られたくない、という目標があるわけじゃないから、数字を追うことはない。ただ相手のプレーを難しくしようとするんだ。効率の良いプレーを邪魔して、少しでも難しくさせる。アグレッシブに挑み続け、相手に厄介だと思わせる。そうやって集中を削ぎにいくんだ」

最大24点あったリードは第3クォーター終了時点で6点まで縮められ、残り9分で1ポゼッション差と肉薄された。しかし、ここからラプターズは今シーズン最高とも言える時間帯を作り出す。ヨキッチがベンチで休んでいる時間帯、マレーに猛烈なプレッシャーを掛けて得点を止め、バンブリートの3ポイントシュート、シアカムのバスケット・カウント、そのボーナススローは外れるもリバウンドを押さえてポゼッションを取り戻し、ヤコブ・パートルのロブをアヌノビーが叩き込むアリウープに繋いでいる。さらにナゲッツの緩慢なパスをカットしたギャリー・トレントJr.のワンマン速攻と、ビッグプレー連発による9-0のランで流れを引き戻した。

残り5分を切ったところでアヌノビーはまたもパートルからのパスを呼び込み、今度はヨキッチをフェイクでかわしてダンクを叩き込んでいる。118-102と勝利を決定付ける好プレーに会場は大いに沸いた。「あまり覚えてないけど、自然と笑みがこぼれたかもしれない。イケてるダンクだったね」とアヌノビーは言う。

1週間前にもラプターズはナゲッツと対戦しており、続くクリッパーズ戦も合わせて不利なジャッジが重なったためにバンブリートの告発を呼び、チームは3連敗を喫した。だからこそ、今回は多少ジャッジに不安があっても自分たちのスタイルを失わず、良いプレーをして勝つことに意味があったとアヌノビーは言う。

「シーズンの残りを考えると、この先の数試合、特にホームゲームが続くところが大事だから、ここで勝って勢いを付けたかった。毎日少しずつ良くなっていく、そういうシーズン終盤にしたい」