西野曜

オフェンスでは、豪快ダンクを含む9得点をマーク

3月11日、サンロッカーズ渋谷は、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた第12節の群馬クレインサンダーズ戦に挑んだ。第2クォーター以降リードするもなかなか引き離せない展開が続いたが、現在リーグ最下位のディフェンスリバウンドを24-25と互角に渡り合ったことで群馬の反撃の芽を摘み、91-82で勝利した。

SR渋谷は、浜中謙ヘッドコーチが「チームとしてもコーチ陣としても悩みの種だった」と話すディフェンスリバウンドを改善し、バイウィーク前から続く連勝を5に伸ばした。リバウンドに対する意識について指揮官は次のように話した。「ここまで、アグレッシブに仕掛けるディフェンスをしているからこそ、セカンドチャンスを取られてしまうことが多くありました。バイウィーク前の練習からディフェンスリバウンドを大きなテーマとして取り組み、少しずつ大切さを理解してくれていると思います。前回の富山(グラウジーズ)戦で(ベンドラメ)礼生が最後ダイブして、リバウンドを取ったことが勝利に繋がりました。あの勝利からどれだけディフェンスリバウンドが重要なのか、選手たちは分かってくれています」

また、群馬が持ち味とするトランジションオフェンスのキーマンであるトレイ・ジョーンズへのディフェンスについてこう話した。「ジョーンズ選手は素晴らしい選手です。彼に対して、関野(剛平)、津屋(一球)、西野(曜)、ベンドラメ、渡辺(竜之佑)など出る選手がプライドを持って守ってくれました。ファウルがかさんでしまった中でも、チームで守ることをブレずにやってくれました。彼らの努力は素晴らしかったです」

浜中ヘッドコーチが名前を挙げた西野は、ジョーンズをマークする時間こそ少なかったものの他の選手にはない199cmの高さを生かしたディフェンスで簡単にリングへ向かわせなかった。西野は言う。「ジョーンズ選手をどれだけ抑えられるかということについては、試合前のミーティングで話していました。とにかくボールを離させることを意識し、ドライブしたらすぐに寄ってパスを出させるようにしていました。一人だけでなく、チームで守ることができたと思います」

スティールやブロックショットを記録していないが、相手の嫌がるディフェンスを遂行した西野。オフェンスでは、フィールドゴール5本中4本成功と高確率でシュートを沈め9得点を記録した。特に、逆転弾となった第1クォーター終盤のボースハンドダンクや、第2クォーター序盤に12-0のランに繋げた3ポイントシュートなど流れを大きく変えるシュートを決めた。本人は「オフェンスで特に意識して変えたところはない」と話しながらも、常にチームメートとコミュニケーションを取って連携を深め、この試合でも見せたビッグマンとの合わせについて、次のように語った。「マック(ジェームズ・マイケル・マカドゥ)の1on1を警戒するチームが多いので、そこに自分が合わせるようにしています。自分じゃなくても、ディフェンスが寄れば1人は空きができるので、偶然自分だった感じです」

西野曜

守備力を向上させ、プレータイムと得点を伸ばす

SR渋谷は、頻繁に選手交代を行い、フレッシュな状態でそれぞれが自らの仕事を全うするスタイルを貫いている。その中で西野は、外国籍選手やベンドラメのように勝負どころでファーストオプションとなることはないが、相手の得点源を抑えつつ、高確率でシュートを決めるなど献身的なプレーでチームに貢献している。この試合では、攻守両面でその役割に徹した西野は、バイウィーク中に特に取り組んだ守備についてこう話した。

「バイウィーク期間中に、ディフェンスの時の手の使い方を意識していました。今日は何度か(ファウルを)吹かれてしまいましたが、前節の富山戦ではノーファウルで守ることができています。手を使うのではなく、しっかり相手についていくことを考えるようになりました」

今シーズンの西野は、平均プレータイムが13.9分と決して多くないが、4ファウルを記録した試合が7回とファウルトラブルが多発していた。ここまでの反省を踏まえ、約1カ月間のバイウィークでディフェンスの強化に努め、前節からの2試合では平均出場時間を超えるプレータイムの中で、攻守ともに存在感を見せることができている。そして、西野は次のように手応えを語った。

「身長と機動力を生かしたディフェンスを重視しています。また、相手のスクリーンを壊せるように、相手の動きを予測して対応することを考えられるようになりました。(スクリーンで)ズレを作られても、しっかりコンテストできるように。少しずつ、結果に出てきているんじゃないかなと思います」

「チームが崩れてしまった時に考えないといけないのはディフェンスです。自分たちは、何があってもディフェンスから入ることを軸にやっています」と、西野はチームが立ち返るプレーをディフェンスだと考えている。シーズンを通して成長し、チームのアイデンティティを体現しつつある西野は、チャンピオンシップ進出を目標とするチームにとって欠かせない存在となっている。