轟琉維

持ち前の勝負強さを発揮してFBCを優勝「本当に良い思い出になりました」

2月26日、全国各地の高校バスケで活躍してきたスター選手たちが集まり出身地を代表してその日限りのチームで頂点を争う『FUTURE BOUND CLASSIC 2023(FBC)』が開催された。

全国から8チームが組まれた中、『Team FUKUOKA』には昨年のインターハイで優勝、ウインターカップで準優勝した福岡第一の面々が顔を揃えた。そして、世代トップクラスのポイントガードとして高校バスケ界で注目を集めていた轟琉維もその一人として、今大会に参加した。

他チームは、ジュニアオールスターなど中学ぶりの共闘になることが多いため、コンビネーションの点で分があった『Team FUKUOKA』だが、今大会の道のりは険しかった。1回戦の『Team CHIBA』戦では、「雰囲気だったりがつかめなくて、どうすればいいんだろうって感じでやってしまいましたね」と轟が振り返るように、通常より小さなコート、公式戦とは違った雰囲気など、いつもと異なる状況でのプレーに若干困惑しつつ試合に入った。

しかし、時間が進むにつれて、高校時代に何度も見せたドライブや、味方の速攻を演出するアシストなど本来の持ち味を少しずつ出し始める。後半残り10秒に3ポイントシュートを決められてしまい1点ビハインドとなるも、轟が冷静なボールコントロールから絶妙な高さのパスでゴール下のムスタファ・ンバアイ(福岡第一)に合わせて再逆転。51-50で勝利をもぎ取った。

続くセミファイナルの『Team SAITAMA』戦では、進学先の東海大でともにプレーする中川知定真(東海大学付属諏訪)やルーニー慧(正智深谷)との1on1を楽しんだ轟。「これまで(1on1で)対戦したことがなかったので、もっと仲良くなろうって感じで思いっ切りやっていました(笑)」と笑顔を見せた。試合は、お互いに個人技を強調した得点の取り合いが続く中、残り30秒に轟が連続で3ポイントシュートを沈めて『Team FUKUOKA』が3点リードすると、相手のラストショットを平岡倖汰(福岡第一)が阻み、52-49の接戦を制した。

ファイナルの『Team TOKYO』戦は、序盤に相手エースの石川裕大(帝京)に3ポイントシュートを連続で沈められて面を食らうも、ムスタファがインサイドでアドバンテージを取って接戦に持ち込む。21-20で迎えた後半では、残り2分半に轟の3ポイントシュートでリードを得ると、城戸賢心の速攻やムスタファのセカンドチャンスで6点差にする。残り20秒には、轟がディフェンスリバウンドからダブルチームをかわしてそのままレイアップへ持ち込むスーパープレーを見せて、48-42で優勝した。

「慣れない環境で難しかったですけど、優勝することができて良かったです。いろんな選手とマッチアップできて楽しかったですし、本当に良い思い出になりました」と、轟は大会を振り返った。

轟琉維

高校で得た目標と希望を持って大学バスケへ「ワクワクの気持ちがいっぱいです」

福岡第一での轟は、自身が目標とする先輩の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)と同じ8番を背負い、ウインターカップの王座には手が届かなかったものの、3年時には河村が3年だった2019年以来となるインターハイ優勝を成し遂げた。また、昨年8月に行われたU18アジア選手権大会2022では、ポイントガードとして5試合に出場し、平均2.4得点、2.6リバウンド、5.0アシスト、3.6スティールと、得点にやや物足りなさこそあるものの、アシストとスティールで日本代表を牽引した。

高校バスケの中心選手として活躍してきた轟は、福岡第一での3年間で目標が明確になったと話す。「高校に入りたての頃は、自分は上のレベルに行けると思っていませんでした。けど、1年のウインターカップで負けた時に、本当に悔しい思いをして、そこからバスケへの意識が変わりました。日本一になりたい、トップになりたいという目標を持つようになった3年間でした」

1年時に味わった悔しさを胸に日本一を目指して駆け抜けた福岡第一での3年間。次は、目標の河村も進学した東海大へ舞台を移す。「みんなうまいので、ワクワクの気持ちがいっぱいです」と、昨年のインカレを制した大学のトップチームに参加できることを心待ちにしている。

最後に、今後のプレーヤー像について問うと轟は、「自分が一番楽しくバスケットをやっていけたらいいかな」と答えた。楽しむことはバスケットボールの上達に欠かせない要素の一つだ。目標の先輩を越えて日本のトッププレーヤーとなるためにも、ここから始まるバスケット人生を楽しんでもらいたい。