日本から世界へ羽ばたく若き才能を発掘し「世界と勝負できる日本人バスケットボール選手」を育成する株式会社サン・クロレラのプロジェクト『GLOBALLERS』。3期目となった今年は新郷礼音(横浜市立豊田中)にアメリカ留学を目的とした奨学金を出し、「10年間でNBA選手を最低でも1人出す」というプロジェクトの目標に向けて一歩前進した。株式会社サン・クロレラの代表取締役社長を務める中山太にこのプロジェクトへの思いを聞いた。

【新郷礼音の紹介】

「スポットライトが当たっていない選手でも、ものすごく光る選手がいるんじゃないか」

——バスケットボールにアプローチするようになったきっかけを教えてください。

まず、継続性を考える上で本業(健康食品メーカー)とリンクしていくことが非常に重要でした。本業にどういったプラスの効果をもたらせるかという視点から考えたときに、競技人口や男女比率を見て非常に良いバランスが取れているのがバスケットボールでした。また、日本人のバスケットボール選手がもっと海外に出ていけるような機会をサポートすることにも価値を感じていました。

当社は過去に北海道でゴルフのトーナメントをやっていて、北海道のゴルフ愛好家の中ではそこそこ認知がありましたが、それ以外のスポーツ業界における認知がありませんでした。そこで渡邊雄太選手(現フェニックス・サンズ)にご縁をいただいて、当社のブランドアンバサダー的な形で契約を結ばせていただきました。渡邊選手の契約をきっかけにバスケットボール業界の方と関係性を築いていき、そこから東海大学シーガルスや河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)など本当にいろんなご縁をいただいて今に至っています。

——バスケットボールの分野での成果が形になってきている中で、今の状況は100点満点でいうと何点ですか?

20点ぐらいです。当社の製品を強豪チームに導入していただけるようになってきているとはいえ、まだまだサン・クロレラのことを知らない学生さんもたくさんいますから。『GLOBALLERS』に関しても、コロナの影響があって今年ようやく奨学金のウィナー(獲得者)を初めて出すことができました。初年度からそういった形を作りたかったので20点かなと。

——『GLOBALLERS』が生まれたきっかけ、このプロジェクトへの思いを聞かせてください。

日本国内のバスケットボールの試合を観戦する機会がたくさんありましたが、一人ひとりにスポットライトが十分に当たっていないと感じることがありました。日本の良さかもしれないですが、チームで勝つというところにこだわりを強く持っているチームは、選手それぞれの個性が消されてしまっているなと。そして、チームの中であまりスポットライトが当たっていない選手でも、機会や環境さえ変えてあげれば、ものすごく光る選手がいるんじゃないかなとも思いました。私は早くからアメリカに行ったほうがいいと思っていて、中学生を対象にした奨学金つきのトライアウトをしたいと考えていたので、このプロジェクトがスタートしました。

──中山社長は6年ほどアメリカで生活されたとうかがっています。日本とアメリカのバスケットボール文化にはどのような違いがあると思いますか?

アメリカでは、近所のコートに行くと70歳の人もいれば30歳ぐらいの人もいるし、10代でバリバリやっているような子もいます。そして彼らにはとてもレベルの差があるのにピックアップゲームが成立しているんです。バスケが好きという価値が一致していればピックアップゲームに入れますし、ドリブルがつけてシュートもできてちょっと走れたら「一緒にやろうよ」って感じで、何歳になっても楽しくバスケができる文化があると感じました。ですから、日本では3割ぐらいの子が大学に進学するタイミングでバスケを辞めているというデータを見た時には衝撃が走りました。バスケをやっている人の選択の幅を広げることで、競技から離れる人を少しでも減らせる可能性があるという意味でも、『GLOBALLERS』を続ける意義はあるのかなと思います。

——【新郷選手は9月にアメリカのスポーツマネジメント会社『SB Enterprises,LCC』(以下SBE)とマネジメント契約を結びましたが、この契約のサポートをしたのもサン・クロレラだとうかがっています。経緯について教えてください。

アメリカには『SBE』のようなユースアスリートを対象としたマネジメント会社がたくさんあります。その中でSBEは12歳から◎◎◎のプログラムがあり、若い選手をしっかりとフォローをしながら正しい道に導いてくれると会社だと思ったので、『SBE』を選びました。

——奨学金第一号選手に新郷選手を選んだ理由についてもお聞かせください。

今回、『GLOBALLERS』の選抜メンバーと一緒にアメリカに行く機会をいただきましたが、彼以外にもすごくポテンシャルが高くて、アメリカで挑戦を続けても成功できそうだなと思える選手が何人かいました。最終的に礼音にしたのは、人間性の部分が非常に大きいです。彼と同じくらいスキルとフィジカルがある子はたくさんいましたが、努力を怠らないという部分と、人の話をしっかり聞けるという部分が最終的な決め手となりました。

「NBAの450人の中に入ることに関しては、不可能な夢ではない」

──渡邊雄太選手がNBAで結果を出しています。新郷選手もチャンスがあると思いますか?

渡邊選手は、最近いろいろなメディアの質問に対して「やっていることはこの数年何も変わっていない」とよく口にしています。昨シーズン所属していたブルックリン・ネッツでは本当に『3&D』的な選手としてフィットしていて、元々彼が持っている能力だったり人間性にプラスして環境がうまくハマったことで、良いパフォーマンスを発揮できていたと思います。礼音選手に関しても、やっぱり人間性の部分やスキル、フィジカルですごく良いモノがあるので、彼の強みがしっかり生かされる環境にハマればチャンスが出てくると思います。努力を続けていく中で、彼のスキルセットに加え、必要としてくれるチームにしっかりフィットできるかどうかもすごく重要だと思います。スーパースターレベルの選手はどこのチームにいても活躍できるでしょうが、そういうNBA選手は約450人中20人くらいしかいません。そこを目指すとなるとほぼ夢物語のようですが、450人の中に入ることに関しては、不可能な夢ではないと思っています。

──新郷選手は「絶対有名になってサン・クロレラをもっとみんなに広めたい」と言っていました。今後の活動として目指しているところは?

最近、どのカテゴリーを見ていても、大きなケガをする選手が多いと感じます。キャリアに関わるような大きなケガを予防するという点で当社が貢献できるという思いは強いです。最近はいろいろな学校でお話をする機会をいただいてますが、単純に商品を飲んでいただくだけではなく、コンディションに対する認識だったり、食に関する知識をアップデートしていただけるような機会も作っていかないといけないと思っています。

──最後に、新郷選手にメッセージをお願いします。

奨学金を勝ち取った1人目というところで、もしかしたら周りからプレッシャーになるようなことを言われるかもしれません。それでも、そういったことを気にせずに自分の夢に向かって頑張ってほしいと思います。この選択が自分にとって良かったんだと思ってもらえるような結果を出してほしいので、それだけを考えて頑張ってほしいです。僕たちがサポートできることがあればどんどんやっていこうと思っていますし、変なプレッシャーを感じずに本当に楽しんでほしいですね。

また、アメリカ遠征をサポートしてくれたSBEのサリバン・ブラウンが彼のためにとても良いプログラムを考えてくれているので、SNSなどを通して、経験したことを日本の若いボーラーにも伝えていけるような存在になってくれると個人的にはとてもうれしいです。若い時にこういったプログラムがあればよかったと思う、理想に近いものができたので、このプログラムがあってよかったと言ってくれる子供たちが増えてくれれば、何よりもうれしいです。そう思ってもらえる子供たちを増やす意味でも、礼音選手にはいろいろな情報発信をしてほしいですね。