ネッツはディンウィディーとフィニー・スミス、複数の指名権を獲得
現地2月5日、ネッツはトレードを要求したカイリー・アービングを、マーキーフ・モリスとともにマーベリックスに送ることを決めた。ネッツにはスペンサー・ディンウィディー、ドリアン・フィニー・スミス、そして1巡目指名権と2つの2巡目指名権が移る。
カイリーは2019年にネッツに加入。ケビン・デュラントとのコンビ結成は大きな注目を集め、ジェームズ・ハーデンとの『ビッグ3』も結成したが、コート内よりもコート外でのトラブルが多くて結果を残すには至らず、プレーオフでの最高成績は2020-21シーズンのカンファレンスセミファイナルだった。
マブスはルカ・ドンチッチとカイリーのコンビでNBA優勝を目指すことになる。ドンチッチの負担を軽減できる得点源が必要だったのは確かで、その点ではカイリーは十分すぎる補強だ。
しかし、ボールを持って力を発揮するドンチッチのパートナーとして、同じタイプのカイリーを組ませて機能させるのは簡単ではない。ドンチッチはマブスの絶対的なエースで、自分主体でプレーすることは譲らないと同時に、カイリーはネッツでの4シーズンすべて平均フィールドゴール試投数が20を超えてきた。一つしかないボールをどうシェアするのか、互いの個性を殺さずに連携する方法を見つけられるかどうかがまず課題となる。
もう一つはディフェンスの面。オフェンス力はあってもディフェンスに難を抱えていたマブスは、優れた2ウェイプレーヤーであるディンウィディーと、チームで数少ないディフェンス優先の選手だったフィニー・スミスを手放すことになる。ジェイソン・キッドは難しい舵取りをしなければならないだろう。
カイリーはトレードを要求した後、もうネッツでは試合に出ないかのような行動を取っていたため、すぐにでもトレードをまとめる必要があった。この状況でネッツとしては最善の手を打ったように思える。ただ、最も大事なのはデュラントがこれをどう受け止めるか。昨年夏に彼が突如としてトレードを要求したのは(後に撤回)、親友のカイリーに契約延長がオファーされず、ネッツの将来を悲観したからだと言われている。
最善の手は打ったとしても、今シーズンの戦力は落ちたこのトレードをデュラントがどう受け止めるか。スティーブ・ナッシュに代わって指揮を執るジャック・ボーンの力量をどう見ているか。他のチームは今回のカイリー以上に、デュラントの動向に注目しているはずだ。
カイリーは自分の望んだ通りにトレードを勝ち取ったが、新契約を勝ち取ったわけではない。現在の契約は今シーズン終了までで、次に良い契約を勝ち取るためにもマブスでの今シーズン後半で結果を残す必要がある。今の彼への評価は「実力はあるが、それ以上にトラブルメーカー」というもので、これを書き変えない限りは彼の望むような契約は得られない。彼にとっても、マブス移籍は大きなチャレンジとなる。