オースティン・リバース

マジックのモー・バンバと乱闘、5人が退場処分の異常事態に

NBAではディロン・ブルックスとドノバン・ミッチェルによる派手な乱闘騒ぎがあったばかりだが、その翌日に今度はティンバーウルブズとマジックの試合で乱闘が起きた。今回の主役はウルブズのオースティン・リバース、そしてマジックのモー・バンバだ。

第3クォーター後半にマジックのベンチ前で2人がお互いを突き飛ばし、次々に選手が割って入る。ただ、試合が途切れてボールとは反対側で起きた出来事だけに、多くの人にとっては『気が付けば乱闘になっていた』という感じだったはずだ。

この一つ前のポゼッションで、リバースは右コーナーからのワイドオープンを外している。シュートを外してディフェンスに戻るリバースに対し、目の前のマジックベンチにいたバンバからヤジが飛んだ。リバースは次のポゼッションでマジックのベンチに歩み寄り、「礼儀正しくするんだ」と声を掛けたそうだ。

リバースは試合後の会見でこう説明する。「その時点で乱闘になるとは思わなかった。だけど彼が立ち上がって殴ってきた。幸いにもパンチは外れたが、その時点で僕は自分の身を守ろうとした」

「告げ口をするつもりはないが、汚い言葉を言ったのは一人だけだった。何を言ったかは伏せておくけど、理由もなくそう言われるのは好きじゃない。僕は別に挑発したわけじゃない。ただ『礼儀正しくするんだ』と言っただけだ。あとはもう無茶苦茶だった。彼のパンチは外れたが、僕は(ジェイレン)サッグスか誰かに首をつかまれて引きずり倒された。正直、何が何だか分からないし、あまり説明できることはない」

乱闘の映像が検証された結果、マジックではバンバとサッグスが、ウルブズではリバースとプリンス、ジェイデン・マクダニエルズが退場となっている。乱闘が起きた時点で83-73とリードしていたマジックが、最終スコア127-120で勝利した。

リバースとバンバの間でどんなやり取りがあったのか、映像からは分からない。それでもマジック側にも言い分はあり、乱闘となった時にベンチにいたマーケル・フルツは「よくあるトラッシュトークだった」とバンバを擁護している。「ベンチ前でシュートを打たれたら誰でも言うようなことさ。反対側のコーナーだったら彼らも言うはずのね。なぜ彼があんな反応をしたのか理解できないよ」

事の真相は別として、試合後に会見場に現れた時にはリバースは落ち着きを取り戻しており、むしろ意気消沈していた。「僕はチーム最年長のベテランで、みんなを引っ張る立場にある。なのに退場になってチームの力になれなかった。しかもチームにとって重要な他の2人も一緒に退場させてしまった。残念だし、申し訳ないよ。怒りは負けたことに対して感じている。その負けに自分が変な形でかかわってしまったことにもね」

乱闘相手のバンバに対する怒りは、もう持っていなかった。「僕の顔を見てくれ、殴られちゃいない。誰も誰かを殴りたいなんて思わないんだ。出場停止になるし、下手したら手を骨折してシーズンを棒に振る。彼もあの瞬間は怒り狂っていたんだろうけど、本気で僕に害を与えるつもりはなかったと思う。きっと今ごろは僕と同じように、自分のやったことを恥じているだろう」

ただ、昨日の乱闘騒ぎの後にキャブズのダリアス・ガーランドが「僕らの優しさは時に弱さと勘違いされるけど、弱虫じゃない」と言い切ったように、リバースも最後に自分の引くべき一線は引いた。「僕はチンピラじゃなくて、ここで自分の仕事をしようとしているだけだ。でも、誰かにナメられたら黙ってはいない。言うべきことを言う。僕は自分のやるべきことをやったんだ」