すべてのポゼッションに顔を出し、19分の出場で20得点13リバウンド
タリ・イーソンは大きな注目とともにNBAに来たわけではない。昨年のNBAドラフトで1巡目17位指名を受けた21歳のウイングは、開幕からロケッツの51試合すべてに出場しているが、ロケッツは13勝38敗で西カンファレンスの最下位で注目度が低く、エースのジェイレン・グリーン、同じルーキーでも1巡目3位のジャバリ・スミスJr.を始め将来有望なタレントがひしめいており、ここで及第点のプレーをしていても大きな注目を集めることはできない。
それでもイーソンはリーグでは無名のまま、ロケッツファンの中で支持者を増やしている。それは常にエネルギー全開でボールに食らい付くプレースタイルの成果だ。
技術的にはロケッツの中ではむしろ劣り、速攻のフィニッシュでレイアップを落とすなど稚拙なミスも少なからずある。バスケIQが足りずに自分のいるべきポジションを見失うシーンもある。たくさんの欠陥を抱えながら、自分の持ち味を前面に押し出すことで、彼はこのリーグで評価を勝ち取りつつある。
現地2月1日のサンダー戦では112-106の勝利にベンチから貢献。20得点13リバウンド、1アシスト2ブロック3スティールというスタッツは素晴らしいが、エース級の選手なら毎試合のように出す数字でもある。ただ、ベンチスタートのイーソンがわずか19分のプレータイムでこれだけのスタッツを稼ぎ出したと知れば、誰もが驚くのではないだろうか。
最も驚くべきは13リバウンドのうち12本がオフェンスリバウンドだったこと。ヘッドコーチのスティーブン・サイラスは「少なくとも私の知る限り、こんな数字を残す選手はいない。タリは自分にやれることは何でもやる。速攻で走り、リムを攻め、ルーズボールに食らい付いて、身体を張ってディフェンスする」と驚きを隠さない。
イーソンのダブル・ダブルはこれでシーズン4回目であり、3試合連続となる。その中でもサンダー戦のパフォーマンスは頭一つ抜けていた。それはNBAオールスターウィークエンドのライジングスターズに選出されなかった憤りによるものだ。ロケッツからはグリーンとスミスJr.、アルペラン・シェングンがライジングスターズに選出されたが、イーソンには声が掛からなかった。
「僕は自分がトップルーキーの一人だと思っている。それをプレーで示さなきゃならないと思ったんだ」とイーソンは言う。
今は限られたプレータイムの中で、とにかく積極的にボールに絡んでいくことに集中している。「僕はコートに入るたびにエネルギー全開でプレーする。チームメートにも僕のエネルギーが伝わって、チーム全体に良い影響をもたらしたい」
オフェンスにもディフェンスにも、とにかく多くのポゼッションに顔を出し、ボールに腕を伸ばすオーソン。ギラギラした野心を燃やす彼のプレーには一見の価値がある。