『世界基準』に向けたフィジカルの底上げは不可欠
今週から始まった男子日本代表の重点強化合宿。ここから選手たちの『プリワークアウト』を担当しているのが佐藤晃一だ。昨シーズンまでティンバーウルブズでスポーツパフォーマンスディレクターを務めた佐藤は、先日から技術委員会のスポーツパフォーマンス部会長に就任、代表選手たちのフィジカル管理を担当する。
「毎回同じことを僕はやりません。だって毎回同じことやったら選手だって飽きるじゃないですか」と佐藤は言う。「ウォームアップのことを僕らはプリワークアウトと言いますけど、選手はウォームアップではなくバスケをやりたいので、いろんな刺激を入れていろんな運動体験をさせないとダラダラしちゃうんです」
代表チームにおける自らの関わり方について、佐藤はこう説明してくれた。「僕らにとって、練習のプログラムを作るのはストーリーを書くようなものです。コーチがどういう練習をするのか、そこへどのように僕が橋渡しをするか」
レギュラーシーズンの最中、2日間と限られた時間しかない中でのトレーニングについてこう語る。
「そこは少し難しいところで、選手たちはチームに属しています。チームでやることに僕は介入できません。ただ例えばスクワットの際に股関節が詰まっている選手、足首が動きづらい選手がいたら、ちょっと見てみようかとエクササイズをやる。股関節が詰まっているとうまく『あぐら』がかけません。別にあぐらがかけないとバスケができないわけじゃないんですけど、できたほうがいい。ストレッチじゃなくてしっかりとしたコアエクササイズをやって股関節を緩めるとどんどん良くなっていく。それを個人のメニューとしてやるといいですよ、と僕から提案して、それで選手が納得して自分のメニューとしてやってくれれば素晴らしいですね」
今回は2日間だけ。だが、この取り組みはこれから長く続いていく。
「続けていけば、さらに高いレベルのものを提供できます。あとは2週間か3週間の合宿ができれば、僕が言ったことをやってもらうっていうルールにできるんですけど。今はシーズン中なんで、選手が自分の身体にどう意識を持つか、それを気づかせるっていうのがまず最初です」
「今までは何をやっているか分からなくてやっていたエクササイズを、ここがポイントで、こうやるのが良いですよ、と定めてあげる。そうすれば分かってもらえるので」
『世界基準』に向けた日本代表の強化はスキルや戦術だけではない。フィジカルの面、アスリート能力をどう上げていくのか、佐藤の挑戦は続く。