鋭いドライブや3ポイントシュートなどでシーズンハイを更新する13得点をマーク

1月22日、秋田ノーザンハピネッツはホームで大阪エヴェッサとの第2戦に臨んだ。終盤までリードチェンジを繰り返す接戦となったが、大黒柱のスティーブ・ザックがファウルトラブルに陥りインサイドを強調できなくなり、残り40秒にディージェイ・ニュービルに3ポイントシュートを決められ、79-83で競り負けた。

秋田のケビン・ブラスウェルアシスタントコーチは、第1戦で7得点に抑えた大阪のショーン・オマラがザックのファウルトラブルをきっかけに19得点16リバウンドとシーズン平均を超えるパフォーマンスだったことを敗因に挙げた。「昨日の試合と今日の試合で大きな違いはオマラ選手が活躍したことです。スタッツも素晴らしい数字だと思います。ウチもザック選手を起点にしたかったですが、ファウルトラブルでプレータイムが制限され、やりたいことができませんでした」

試合全体を見ればリードチェンジを何度も繰り返す一進一退の攻防となったが、第1クォーターに限っては秋田が11-0のラン、大阪が7-0のランと連続得点に成功し、3ポゼッションのリードをお互いに得る時間もあった。第1クォーター残り4分には、年明けから田口成浩の戦線離脱を受けてセカンドユニットに積極性を与える役割を担う長谷川暢が出場。自身最初のアテンプトとなった3ポイントシュートを沈めると、ケビンコーチがシーズン後半戦のポイントに挙げている『ペイントタッチ』と『テンポの早いバスケ』を体現するように、相手のターンオーバーからファストブレイクに成功。秋田のラストオフェンスでも3ポイントシュートを決めるなど、長谷川が4分間で8得点を挙げて13-2のランを先導した。

第2クォーター以降も、ディフェンスリバウンドからの速攻で獲得したフリースローや3本目となる3ポイントシュートなどでシーズンハイの13得点を記録した長谷川は次のように試合を振り返った。「(第1戦は)0得点だったので、昨日の反省を生かしてアグレッシブにプレーしていくことがポイントでした。バックアップとして出ているので点数も取って、ディフェンスでもハッスルしていけるようにゲームに入りました」

また、ケビンコーチが求めるペイントタッチについては、「個人的にもリングに向かっていけることが強みなので、トランジションに思いっ切り走ったり、プッシュしたりして自分の良さを出せています。その中で、ケビンコーチが言うペイントタッチからのキックアウトに繋がったと思います」と、積極的なアタックをおとりにした味方へのアシストにも手応えを感じている。

「ディフェンスでリーダーシップを取れるぐらいの心を持っています」

秋田は長谷川を筆頭とした素早いトランジションも出るなど良い時間帯を作るも、勝利まであと一歩届かなかった。秋田はシーズン前半に接戦を何試合も落としてしまい、その度に選手たちは共通認識の重要性を口にしている。長谷川も同様の点を反省しながら、特に得点を狙う積極性が必要であることを強調する。

「ゲームクロージングの場面で、誰が打つべきかの共通認識を持つことが大切です。また、横を見るのではなくてリングを狙っていくことが必要になると思います。今日はスタントン(キッド)選手や古川(孝敏)選手を見るのではなくて、強い気持ちを持って3ポイントシュートを打っていけば得点できることも実感しました」

また、ケビンコーチが「オンボールに対してのディフェンスはリーグでも1、2を争うレベル」と、高く評価するディフェンスについては次のように話した。「ボールマンに対してプレッシャーをかけることができることもそうですし、今シーズンはチームディフェンスのオフボールの動きに力を入れています。相手のポイントガードをマークする機会も多いので、最前線のディフェンスでリーダーシップを取れるぐらいの心を持っています。ディフェンスができる選手としてコートに送り出してもらっているので、自分の中でも必ず譲らない持ち味です」

秋田は第19節を終えて16勝16敗で東地区4位で、チャンピオンシップ出場圏内にいる2位のA東京とは10勝差、ワイルドカード圏内の琉球ゴールデンキングスとは7勝差となった。昨シーズンに続いてシーズン終盤の大逆転での出場を再現するためにも、一試合一試合をモノにしていく必要がある。長谷川は言う。「ここからは接戦を必ず取らないといけない試合が続きます。チームは徐々に形が良くなっているので、自分自身も毎回2桁得点取れるように、3ポイントシュートやドライブで貢献していきたいです」

まだまだ成長過程にいる長谷川のステップアップが大逆転を狙う秋田の鍵を握っている。