個人の突破力に頼りながらもミスの少ないオフェンスへと変貌
21勝25敗で西カンファレンスの13位に沈むレイカーズですが、直近では7勝4敗と調子を上げています。ディフェンス力の低さやオフェンスパターンの少なさなど、根本にある問題は何も解決されないままでも、レブロン・ジェームスとラッセル・ウェストブルックというスーパースターの図抜けた個人能力に依存した戦い方で、突破口を切り開きました。
変化のきっかけは、主力に離脱者が増えたことでした。ガード陣にケガ人が多発したことで、レブロンとウェストブルックのオンボールプレーが増え、プレータイムがガードからウイングへと移る中で、ウイング陣のハードワーク、運動量と2人との合わせのプレーが目立つようになってきました。オンボールとオフボールの役割が整理されたことで、レブロンとウェストブルックにとってプレーしやすい状況になったと言えます。
12月までと1月以降のスタッツを比較すると、レブロンとウェストブルックの2人がボールを持っている時間は11.0分から13.4分へと増え、これによりオフェンスレーティングも112.2から116.0と明確に改善しました。2人合わせて54.3得点、16.7リバウンド、15.6アシストと強烈なディオとして成立している一方で、チームのターンオーバーは14.8から12.1へと減っており、個人の突破力に頼りながらもミスの少ないオフェンスへと変貌し始めました。
ガード陣が離脱したことで、オンボールプレーをスーパースター2人に任せたことでオフェンス全体が改善しました。ただしレブロンもウェストブルックも3ポイントシュート成功率が30%を下回っており、ディフェンスが待ち構えているハーフコートでのアタックよりも、バックコートからスピードに乗って仕掛けられるトランジションでこそ真価を発揮します。この点でもオンボールでスローダウンを選択するガードよりも、2人からのパスを受けるためにオフボールで走り続けるフォワードの方が噛み合います。
13点ビハインドから劇的な逆転勝利を奪ったグリズリーズ戦では象徴的なシーンがありました。自陣のエンドラインを割りそうなルーズボールにレブロンが飛びついてウェストブルックに繋ぎ、ウェストブルックはそこから加速して強引なトランジションからファウルドローをしたのですが、そもそもラストタッチはグリズリーズの選手で、レブロンが飛び付つかずにエンドラインを割っていてもレイカーズボールでした。レブロンはリスタートでハーフコートオフェンスになるより、多少強引でもトランジションの方が得点の確率が高いと判断したように見えました。実際、この第4クォーターにレイカーズは41得点を奪い逆転勝利を挙げています。
昨シーズンのデュオ結成以来、上手く噛み合わない時間が長いレブロンとウェストブルックですが、それは周囲にオンボールでのプレーを好むガードばかり揃えているロスターにも問題があります。ケガ人続出により2人への依存度が高まったことは、皮肉にも噛み合わないチームプレーを整理してオフェンスを改善する方向へと進みました。プレーオフを目指して勝率を上げるためにはディフェンスの改善も必要ですが、補強すべきポイントは分かりやすくなっています。
レイカーズはデイビスも復帰間近で、リムプロテクターが加われば一気に勝率を上げそうにも見えますが、昨シーズンは主力が復帰と離脱を繰り返す中で戦術が場当たり的に変更され、一貫したチーム作りができませんでした。ケガ人が戻ってきても今の流れをキープできるのか、それとも再び戦い方を変更させることになるのか、ビッグ3のドラマはシーズン後半の注目ポイントになりそうです。