ペイントエリア内へのアタック回数をチマチマと数えてみた
Bリーグを見ていて物足りなさを感じている。Wリーグや女子インカレ(大学日本一決定戦)を見たことで、私感ながらその差が表面化した。
「これを数値化できないものか……」。12月10日に行われたサンロッカーズ渋谷vs大阪エヴェッサ戦にて、どれだけドライブでペイントエリア内に進撃したかをチマチマと数えてみた。得点につながったかは置いておき、まずはドライブでペイントエリア内に入った数だけをカウント。YouTube「ENEOS.TV」にアーカイブされていた12月4日のJX-ENEOSサンフラワーズvsシャンソンVマジック戦を見直し、同じく数えていき、男女を比較してみた。
ペイントエリア内へドライブでアタックした回数
Wリーグ/JX-ENEOS(30回):シャンソン(41回)=合計71回
※試合結果:JX-ENEOS 〇 84-50 ● シャンソン
Bリーグ/SR渋谷(27回):大阪(26回)=合計53回
※試合結果:SR渋谷 〇 91-66 ● 大阪
どちらも点差が開いた試合となったが、Bリーグは両チームの総得点が多かったにもかかわらず、アタック回数はWリーグより18本も少ない。女子日本代表の斬り込み隊長である本川紗奈生を擁するシャンソンは、41回を数えている。本川ばかりではなく、この日は藤吉佐緒里が大きなJX-ENEOSに、果敢に挑んで行った。
体格差や実力差がある相手から勝利を得るためには、リスクを冒さなければならない。2大会連続アジアチャンピオンであり、リオ五輪でベスト8。さらにアンダーカテゴリーでも着実に世界で結果を残している女子選手だからこそ、ゴールに向かってアタックすることが体に染み込んでいる。
男子日本代表も、格闘技さながらのペイントエリア内の攻防を恐れなかったからこそ、昨年のアジア選手権で4位となり、世界への扉を開いた。志半ばで退任する運びとなった長谷川健志ヘッドコーチだが、ドライブでゴールに向かってアタックすることでギャップを作り、その隙を突いていかなければ国際大会では勝てないことを言い続けていた。
しかし、強化を掲げる国内リーグでは、リスクを冒すことなくゴールから遠い位置からサラッとオフェンスが終わってしまうことに物足りなさを感じる。
アタックすることで生まれるスペースを使う展開を
昨シーズンはWリーグの富士通レッドウェーブを指揮し、今シーズンより渋谷のヘッドコーチを務めるBTテーブス。大阪戦は点差が開いたために、第4クォーターは両チームともバタバタと攻め合ったことで相手のアタック回数がグンと伸び、1回まで差が縮まった。しかし前半は大阪9回に対し、SR渋谷16回と大きく上回るアタック回数が奏功し、52-30と一気にリードをつかんだ。
テーブスは以前から「ペイントエリア内の得点を伸ばすこと」を徹底させている。取材時に配布されるBOXSCOREにその数値は明記されている。先週の千葉ジェッツとの第1戦は74-83で敗れたが、ペイントエリア内からの得点は46点:36点で上回っていた。大阪戦も34点:26点でしっかりと目指すべき数字を残している。ぜひともこの数字も、WEBサイトのBOXSCOREに反映していただきたい。
テーブスは言う。「昨今のNBAやヨーロッパと同じように、ビッグマンによるポストアップに固執せず、外からアタックしながらスペースを使う展開を行っている。我々の狙いはポストにボールを入れた後、すぐにアウトサイドにいる選手に戻してから、ディフェンスが遅れたことでできたズレを突いてドライブを仕掛けていくか、またはゴールにアタックするかを徹底させている」
SR渋谷の選手たちが果敢にドライブで攻め込み、ディフェンスを縮めたことで、6本の3ポイントシュートを含む24点を挙げた大塚裕土の活躍が目立つ試合にすることができた。
敗れた大阪エヴェッサだったが、日本代表候補に選ばれなかった方の橋本(尚明)が第4クォーターにドライブを仕掛けていった。ヘッドコーチの桶谷大は、「メンタル面の準備が足りなかった」と敗因を挙げており、本来の姿を取り戻せば2戦目の巻き返しも大いに期待できる。
Wリーグ首位攻防戦となったJX-ENEOSvsトヨタ自動車アンテロープス戦は、76-59と17点差をつけ、JX-ENEOSが19連勝を飾った。しかし、JX-ENEOSの主力が30分以上出場する気を緩めることができない展開であり、第4ピリオド終盤にはディフェンスからゴールにアタックしていったトヨタが、勝機を見つけたかもしれない。第2戦もENEOS.TVで中継されるので、女子選手たちのアグレッシブなバスケットをぜひ堪能してもらいたい。
集客を増やすためにもゴール裏の席を埋める必要がある。ペイントエリア内の攻防が激しくなれば、自ずとそこに近い席の価値も上がっていくはずだ。そして、前回指摘したダンクが増えることにも期待している。
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