デイミオン・リー

ステフ・カリーが称賛「彼がやってきたことを誇りに思う」

デイミオン・リーはウォリアーズで『スプラッシュ・ブラザーズ』の控えとして4シーズンを過ごし、今シーズンからサンズの一員となった。現地1月10日は、彼にとって移籍して初となるウォリアーズとの対戦であり、ベイエリアへの帰還だった。昨シーズン、脇役ではあっても優勝に貢献した彼は、ここでチャンピオンリングを受け取っている。それだけではなくシーズンハイの22得点でウォリアーズを撃破し、古巣に最高の形で『恩返し』をした。

リーはドラフト指名を得られなかった苦労人だ。ドレクセル大からルイビル大へと転校して、2016年のNBAドラフトにエントリーするも指名を得られず、セルティックスに加わるも正式契約には至らなかった。Gリーグでのプレーを経て、2017-18シーズンの終盤にホークスと10日間契約を結んでNBAデビューを果たし、翌シーズンからウォリアーズでプレーするが、最初の2シーズンは2ウェイ契約だった。

彼にとってのウォリアーズ1年目は、NBAファイナルでラプターズに敗れたシーズン。2ウェイ契約の身でプレーオフには参加できない。続く2シーズンは『王朝』にとっての低迷期でプレーオフを逃している。こうして昨シーズン、リーはついにプレーオフに出場し、初めての優勝を経験することになった。

スタメンがステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの2人だけに、リーに交代すると見劣りしたのは否めないが、ウォリアーズのバスケをよく理解し、プレータイムが安定しなくても投入されるたびに自分にできる役割を果たしてチームに貢献し続けることで、チーム内での評価は非常に高かった。しかし、リーグで最も高い人件費を使っているウォリアーズは、ベテラン最低保証額の選手を引き留めるのも簡単ではない。リーはフリーエージェントとなりサンズと契約を結んだ。

長らく2ウェイ契約で、優勝した昨シーズンもシックスマンの立場をジョーダン・プールに譲っていた彼が、これほど惜しまれるのは、そういった背景があるからだ。ウォリアーズの指揮官、スティーブ・カーはこう語る。「デイミオンは特別なヤツだよ。NBAに来るまでの困難な道のりを経て、今の成功がある。ウチで優勝し、サンズではリーグ最高の3ポイントシューターの一人になった。彼が価値あるロールプレーヤーとしての評価を確立したことは、私にとっても本当に喜ばしいことだ」

ウォリアーズ戦の試合開始前に、リング贈呈が行われた。リーの活躍を称える映像がアリーナに流れ、ステフィン・カリーがチャンピオンリングを彼に手渡す。ステフはマイクを持ち、ファンに向かって「我々の兄弟、デイミオンを歓迎したい。彼のウォリアーズでの4年間は素晴らしいものだった」と語り、ファンはリーに歓声を送った。リーの妻はステフの妹で、リング贈呈式にも同席していた。ウォリアーズが結果を出せなかった時期に、リーはファンから「ステフのコネ採用」と批判されたことがある。ステフが「僕の兄弟」ではなく「我々の兄弟」と強調したのは、当時の不当な批判への彼なりの回答だったのかもしれない。

デイミオン・リーは「ゴールデンステートという素晴らしい組織でプレーできたのは僕にとって幸運だった。僕はずっと最高のレベルでプレーしたいと夢見てきて、そのチャンスを与えてくれた。最高の仲間が僕を支えてくれた」と言う。

この試合が左肩のケガからの復帰戦となったカリーもリーについて「対戦相手となったデイミオンを見るのにほろ苦い感情なんてない」と断言する。「サンズでの最初の試合で彼がゲームウィナーを決める瞬間から、100%応援している。彼がこれまでやってきたことを僕は誇りに思っているんだ。サンズの人たちと話したけど、みんなデイミオンを選手としても人としても高く評価している。もちろん、ウチとの試合で活躍されるのは困るけど(笑)、今日は彼と彼の家族にとって特別な日になった」

プロキャリアのスタートが遅く、芽が出るまでにも時間がかかったことで、リーはすでに30歳となっている。それでも、同じような境遇の選手のほとんどが脱落する中で、彼はNBAで生き残り、チャンピオンリングも手に入れた。「NBAにたどり着くまでも、そこからの道のりも、常にハードワークが必要だった。でも、苦労を重ねたからこそ特別な今日がある」

現在、3ポイントシュート成功率のリーグトップはネッツの渡邊雄太の52.7%で、続いてナゲッツのケンテイビアス・コールドウェル・ポープの48.0%、そして3位が46.8%のデイミオン・リーだ。カリーは「次はオールスターウィークエンドの3ポイントシュートコンテストが楽しみだね」という言葉で、リーについての話題を締めくくった。