イングラムが復帰しても外しづらいほど貴重な戦力に
ペリカンズは西カンファレンスで首位を争っていますが、得点源のブランドン・イングラムとエースキラー役のハーブ・ジョーンズに欠場が多く、ほとんどの試合でウイング陣が揃わない状態が続いています。しかし、2年目のトレイ・マーフィー三世が攻守にわたる活躍でチームを支えるとともに絶妙なバランサーとして機能しています。
マーフィーは大学で3シーズンを過ごし、即戦力のウイングとして2021年のドラフト17位で指名されましたが、35位指名のジョーンズが開幕からスターターとして活躍したのに対し、チーム戦術の中で自分の役割を見いだせず、特にオフェンスではヨナス・バランチュナスなどビッグマンが多いインサイドへアタックするタイミングに困ってフィールドゴール成功率が上がらず、なかなかプレータイムを得られませんでした。
苦しいルーキーシーズンでしたが、3ポイントシュート成功率の高さとディフェンス力を示すことで、シーズン終盤からプレーオフにかけてローテーションの一角に食い込みました。そして迎えた今シーズンは23試合にスターターとして出場し、48.6%のフィールドゴール成功率に加えて、90%を超えるフリースロー成功率と安定したシュート能力を発揮し、好調ペリカンズで欠かせない戦力へと成長しました。
いわゆる『3&D』タイプのマーフィーですが、コーナーでパスを待つようなシューターではなく、CJ・マッカラムやザイオン・ウイリアムソンがオフェンスの中心として仕掛ける中で空くスペースを見付け、積極的に動いていきます。時には逆サイドのコーナーまで大きくオフボールで動き、フリーになって3ポイントシュートも放ち、さらにディフェンスの死角を突くカットプレーでのフィニッシュもしていきます。1年前にはポジショニングに困っていたのが嘘のように、コートの中を大胆に動き回るようになり、ペリカンズのオフェンスに多彩さを加えています。
ペリカンズはウイングやビッグマンを4人並べたラインナップと、ガードを増やして機動力を重視したラインナップを使い分けますが、マーフィーはそのどちらでも起用されます。ラインナップに応じてポジションが変わり、ガードからパワーフォワードまで様々な選手とマッチアップしますが、エースキラーもヘルプ担当もこなします。その万能ぶりは2年目の選手とは思えないレベルで、スタッツ以上に高い貢献をしています。
イングラムが戻って来ればマーフィーはベンチスタートに回る可能性もありますが、チームのバランサーとして機能しているだけに試合終盤にコートに残したくなるタイプです。何よりマーフィーは試合後半になるほどフィールドゴール成功率が上がり、クラッチタイムでも平然と決める勝負強さも持っています。ペリカンズの好調さはマーフィーの活躍抜きでは語れないだけに、シーズン後半に向けてさらに存在感を増していきそうです。