「大野さんの下で積み重ねてきた戦うメンタリティは今も生きている」
12月31日、千葉ジェッツはホームで三遠ネオフェニックスと対戦した。序盤に5連続3ポイントシュートが飛び出して大きくリードに成功すると、トータルリバウンドで17本差をつけるなど試合を優位に進め、100-70で快勝した。
試合後、千葉Jのジョン・パトリックヘッドコーチが「ウチがまず良いリズムで試合に入ることができました。よくボールが動いている時間とそうじゃない時間がありましたが、リバウンドとターンオーバーの差で勝利できたと思います」と振り返るように、この試合で千葉Jが外した44本のフィールドゴールのうち、約半分となる20本をオフェンスリバウンドでセカンドチャンスに繋げた。
チームメートがリバウンドを取ってくれる安心感があると、シューターも思い切りの良いシュートを打つことができる。特にこの試合の3ポイントシュートに関しては1分に約1本ペースとなる38本を放って14本成功し、キーポイントとなった。第1クォーターに2本連続で長距離砲を沈めて流れを引き寄せた原修太は次のように話す。「昨年までは効率の良いシュートを打っていましたが、今年はシンプルというか、トランジションの場面でも空いたら打つようになっています。ジョンさんはシュートを打って交代させることは今シーズン一度もないので、それが積極的に打つことができる要因になっているのかなと思います」
リバウンドリーダーのジョン・ムーニーを中心としたインサイド陣がリバウンドを確保し、原やクリストファー・スミス、富樫勇樹らバックコート陣がアウトサイドからシュートを射抜く。それぞれのポジションでの役割を自覚し、積極的にリングを狙い続けることで千葉Jは東地区の首位をキープしている。そして、現在7連勝中と好調の裏には共通認識がしっかりと取れているからだと富樫は話す。「どの選手がどういうプレーをしたいかっていうのはかなり分かってきています。役割がはっきりしていて、それぞれの選手がお互いに良さを引き出そうとできていることは本当に良いところです。得点を取る選手と得点を取らない選手がいますが、得点している選手が特別良いということではなくて、それをしっかりと支えているメンバーがいるということをみんな理解できていますし、それぞれのプレーをハードに取り組むことができています。そこはチームの一番の強みなんじゃないかなと思います」
チーム全員のベースとなるディフェンスについては、「プレシーズンの時よりは強度は落ちてしまっていますが、ケガ人が出ていてチーム状況が変わっている中、その時その時に合わせて取り組むことができています。試合の中でも強弱をつけてディフェンスができているので、プレシーズンでやった強度をベースにして、ギアを上げた時にはしっかりできていると思います」と、選手の欠場が続く中でも安定した力を発揮できていると話す。
千葉Jのディフェンスに対する意識を変化させ、堅守からのトランジションを軸としたチームを作り出したパトリックヘッドコーチは25試合を終えた現状について次のように評価する。「ディフェンスのハンズアップの習慣が良くなっていると思います。スカウティングや練習の時間はあまり取れていないので、試合の経験を重ねることで少しずつできています。今年の夏はナショナルチームもあって(全員が揃って練習に)取り組めていませんでした。ですが、ウチの目的は5月にチームのベストなバスケットボールをやることです。まずは健康が良くて、無理のないようにステップバイステップで向上していきたいと思います」
また、「チームの誰かが試合の中でステップアップして勝ち続けています。大野(篤史)さんの下で積み重ねてきた戦うメンタリティは今も生きていると思いますし、それが土台となって今のチームになっています。選手がしっかりとまとまって良いコミュニケーションが取れているのが一番です」と、富樫はこの日対戦したかつての指揮官から得たメンタリティが今のチームを作っていると話した。
「2022年は何も成し遂げることはできていません。2023年は一番近い目標の天皇杯を優勝して、地区優勝とリーグ制覇の3冠を目指していきたいと思います」。2023年最初の試合となる今日の第2戦を勝利し、天皇杯やチャンピオンシップの制覇に向けて幸先の良いスタートを切りたい。