平良宗龍

ターニングポイントになったビッグクォーターを導く原動力に

ウインターカップの男子決勝、開志国際は福岡第一に88-71と快勝。インターハイの決勝で76-77とあと一歩で敗れた雪辱を果たし、悲願のウインターカップ初優勝を成し遂げた。

結果的に大差がついたが、それは開志国際が5点ビハインドで迎えた第2クォーターに25-9と大きく上回り、一気に主導権を握ったことに起因する。そして、第2クォーターの爆発を導いたのは1年生ガードの平良宗龍で、このクォーターだけで3ポイントシュートを4本連続で沈め、12得点をマーク。富樫英樹コーチも「ああいうことがあると勝つのかなという思いがしました。頼もしい1年生だと思います」と語る、試合の大きなターニングポイントとなる活躍ぶりだった。

沖縄出身の平良は中学時代、琉球ゴールデンキングスのU15チームに所属していたが中学3年生の時には同チームのU18に飛び級で昇格し、トップチームのワークアウトにも参加するなど早くからその才能を高く評価されていた。そして開志国際に進学すると、入学直後となるインターハイの時点で中心選手として活躍し、『スーパー1年生』として脚光を浴びた。

だが、「インターハイが終わった後、3ポイントシュートの不調が続いていました」と、持ち味であるオフェンスで本来の力を発揮できない苦しい日々が続いた。それはウインターカップに入ってからも続き、「気持ちよく打てなくて、ノーマークになった時に決めきれていなかったです」と語るように、準決勝の藤枝明誠戦では9本中1本の成功のみで、決勝前の4試合での3ポイントシュートは25本中6本成功に終わっていた。

苦しい状況が続く中でも、強度の高い密着マークで相手のキーマンを抑えるなど、自身のやるべきことを継続していった。「(精神的な辛さは)ちょっとはありましたが、それを試合に影響させたらダメと、すぐに切り替えて次の試合に臨むというふうにしていました。打ち続けたら入ると信じてやっていました」

この積み重ねがあったからこそ、決勝の大一番で本領発揮することができた。「1本入ると連続で入ることがあります。あの時はゾーンに入ったみたいな感じでした。あそこで流れが変わったのでしっかり決め切れて良かったです」

平良宗龍

「エースの抜けた穴を埋められるように、中でも外でも得点を取れる選手に」

インターハイの決勝戦、開志国際は平良のパスミスから土壇場で逆転シュートを許し、福岡第一に1点差で敗れた。だからこそ、平良は次の強い想いを抱き見事に有言実行を果たした。「決勝は第一さんにリベンジを果たして優勝したいと思っていました。その気持ちをディフェンス、シュートに繋げられて良かったと思います」

平良の持ち味は抜群のスピードとフットワークに加え、優れたボールハンドリングなど高い技術を持ち合わせていることだが、精神的な強さも特筆すべき長所だ。大舞台でも物怖じすることがないどころか、その舞台が大きくなることを楽しめる頼もしさがある。「絶対に決めてやるという気持ちで毎回やっていますが、勝ち上がっていくにつれてその気持ちが上がっていくことはあるかもしれないです」

ウインターカップ決勝という高校バスケ界で一番のビッグゲームで不振を打破できたことで、「壁を1つ乗り越えた手応えはあります」と、ステップアップを果たした。「自分のプレーを続けることでしっかり優勝できました。調子が悪くてもしっかり打ち続けて大事な場面で決める。ディフェンスの部分で、相手のキーマンにしっかりついて気持ちよくプレーさせない部分はできたと思います。

そして最後にさらなる飛躍が期待される来年への抱負をこう語る。「エースの(介川)アンソニー(翔)さんが抜けた穴を埋められるように中でも外でも得点を取れる選手になりたいです」

ここ一番での勝負強さを証明し、心身ともに大きなレベルアップを果たした平良が、来年は開志国際のエースとしてどんなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみだ。