前日の借りを返すべく、エナジー全開のA東京
アルバルク東京と京都ハンナリーズの第2戦。金曜の初戦を85-87で落としたA東京が、連敗阻止に気合いの入ったプレーを40分間徹底し、ジュリアン・マブンガの突出したパフォーマンスに手を焼きながらも85-82で勝利した。
第1戦に競り勝った京都は、浜口炎ヘッドコーチが「相手は昨日の第4クォーター以上にエナジーを出してくる。それに負けないように」と檄を飛ばして試合に入ったが、立ち上がりからA東京が攻守の積極性で圧倒する。ボールを素早く動かすが外を回すだけにならず、行けると判断すれば強引でもドライブで割って入り、田中大貴と馬場雄大がビッグマンに頼らない仕掛けでリードを作る。シュートの精度だけでなく、運動量とボールへの執着心でも上回り、安藤誓哉の3ポイントシュートが外れたところを竹内譲次が飛び込んで押し込み、開始5分で13-2とリードを奪った。
それでも、ここでマブンガがゴール下を強引にねじ込むバスケット・カウントで初得点を挙げて、京都にもスイッチが入る。綿貫瞬が離脱中、先発の伊藤達哉もケガを押してプレータイムを制限する状況で伊藤がベンチに下がると、マブンガがポイントガードに。デイヴィッド・サイモンがセンター、あとは岡田優介、内海慎吾、片岡大晴(あるいは晴山ケビン)とシューターを並べる布陣となった。
前日に27得点のマブンガ、同じく38得点のサイモン、この2人の連携でA東京の堅守をこじ開けていく。特にマブンガの強引なドライブは止めづらく、マッチアップする竹内とミルコ・ビエリツァは2人ともファウルトラブルに悩まされることに。試合後の竹内が「とても楽しむ余裕はありませんでした」とこぼした激しい攻防は、見る者にとっては見応え十分のマッチアップだった。
マブンガ、一人で竹内とビエリツァを圧倒する出来
第1クォーター終盤は、途中出場の小島元基が速い展開を作り出し、これに呼応して走った馬場の連続得点でA東京が25-19とリードして締める。しかし、京都はその小島を片岡がフェイスガードで封じ、マブンガから外への展開で3本の3ポイントシュートを決めて食い下がる。後半に入ると、常にリードした状況ではあったが、A東京は竹内とビエリツァのファウルがかさみ、いよいよマブンガを止めるのが難しくなってくる。
67-60で迎えた第4クォーター、ビエリツァが個人ファウル4つ、竹内が3つと苦しい状況でもルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは2人を信頼してコートに送り出し、同時にアレックス・カークを休ませる時間帯も作る。この間をザック・バランスキーが繋ぎ、ビエリツァも貴重な3ポイントシュートを決めてリードを守る。こうして追い上げられながらも最終盤に力を残し、なおかつリードも守り続けたことが勝敗を左右した。
京都にとってアリーナ立川立飛での試合は昨シーズンのチャンピオンシップ以来で、モチベーションには事欠かなかった。残り1分を切ってマブンガがアウトサイドに引っ張り出したカークからシューティングファウルを誘い、このフリースロー3本を決めて82-83と肉薄する。続くポゼッションでは安藤のシュートをサイモンが叩き落とし、コート外に出ようとしたボールを伊藤がダイブで残して攻撃に繋げる。ただ、ここでファストブレイクに持ち込むことができず、岡田の3ポイントシュートは外れ、フォローに飛び込んだ晴山もゴール下を決められない。逆に戻りが遅れたところのカウンターで、馬場に走られて突き放される。
安堵の田中大貴「なんとか勝つことができました」
残り5秒、最後の京都の攻めをカークがブロックショットで断ち切り、試合終了のブザー。A東京が85-82で前日の借りを返した。パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「タフな試合を選手たちが最後までよく戦ってくれた」と語る。田中大貴も「昨日とは逆の展開でウチがリードしましたが、最後はやはり追い付かれて苦しい展開でしたけど、なんとか勝つことができました」と安堵の表情。苦しみながらも常にリードを守り、勝ち切ったことを評価した。
京都はベンチ入りメンバー10選手、うち3人はプレータイムがなく7人で奮戦。前日の第1戦も同じ状況で、最後は力尽きた。残り1分を切ったクラッチタイムに足が残っておらず、シュートを決められなかったし、相手の速攻に戻ることもできなかった。
マブンガは41得点5リバウンド8アシスト。1人で13ものファウルを誘い、13本中12本のフリースローを決めてA東京を苦しめたが、チームのフリースロー試投数は他にサイモンが1本の計14本。マブンガの個人技を前面に押し出し、周囲がそれをサポートするスタイルは堅守自慢のA東京から2人連続で80を超える得点を奪う破壊力を持っているが、別の手で攻める時間帯を作れなかったことで一歩及ばなかった。浜口炎ヘッドコーチは「打つべき選手がシュートを打っているので、あとは全部たられば」と、惜しくも落とした接戦を振り返っている。
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