ジェイソン・テイタム

「優勝以外の何も、僕を幸せにはできない」

セルティックスは昨シーズン、NBAファイナルへと駒を進めた。ジェイソン・テイタムはNBAキャリア5年目で26.9得点、8.0リバウンド、4.4アシストとキャリア最高のパフォーマンスでその原動力となり、今シーズンはさらに調子を上げている。

開幕から32試合中30試合に出場して30.6得点、8.1リバウンド、4.1アシストを記録。22勝9敗で東カンファレンスのトップを争うセルティックスのエースとして、MVPの呼び声も高い。そのテイタムが『ESPN』のインタビューに応じ、好調の理由を語った。ただし、その話は昨シーズンのNBAファイナルでの敗退から始まる。

ウォリアーズと対戦したNBAファイナルは、2勝1敗からの3連敗で幕を閉じた。このシリーズでのテイタムは平均21.5得点、フィールドゴール成功率36.7%と振るわず。カンファレンスファイナルまでの24試合は平均25.6得点、フィールドゴール成功率44.6%だったテイタムは、NBAファイナルで失速した。

2勝2敗で迎えた第5戦の最終クォーター、彼は2本のエアボールを放っている。「入ると思ったシュートがエアボールになって、それが2本続いて、メンタルもフィジカルも疲れ切っていることに気付いた。自分へのプレッシャーやストレスも、すべて鮮明に覚えている」と彼は言う。

彼の目標は、あのシーンを二度と再現しないことだ。シーズンが終わってしばらくは、母の手料理も、遊ぼうとせがむ息子にも応じられなかったが、結局彼を失意から引き戻したのはその2つだった。

ファーストラウンドのネッツ戦こそスウィープで終えたが、続くバックス、ヒートとの戦いはGAME7までもつれた。早期決着を付けるか、どれだけ厳しいスケジュールでも戦い抜くだけの準備をするか。テイタムは後者を選択し、今シーズンに向けたトレーニングを始めた。

テイタムはゴルフが趣味だが、夏のワークアウトの期間中は一度もクラブに触れなかった。「NBAファイナルにまた行けると思ったら大間違いだ。また違うシーズンだから、最初からやり直す。戻れる保証はないと全員が覚悟を決めなければいけない。ファイナルを経て、僕は考え方を変えた。NBAファイナルに進むために自分が何をすべきかは分かっているつもりだ」

もう一つのテイタムの変化は、スター選手として注目されることへの受け止め方だ。「これまでの僕は、ケビン・デュラントやジミー・バトラー、ヤニス・アデトクンボとか他の誰かと自分が比較されると、自分の良さを見せなきゃいけないと感じていた。でも、今は自分が誰かに劣っているわけじゃないと証明しようとは思わない。自分が誰なのかは僕自身が理解している。この夏にどれだけ努力してきて、自分に何ができるか分かっているんだ。NBAファイナルの舞台にまた立ち、今度こそ優勝する。それ以外の何も、僕を幸せにはできない」