髙田「勝って良い経験がしたかったけど、こういう経験も必要」
2年連続で同じ顔合わせとなった皇后杯の決勝戦は、最終クォーター序盤に10-0のランで一気に流れを持っていったENEOSサンフラワーズがデンソーアイリスを76-66で下し、10連覇を達成した。
第3クォーター終了時点でデンソーの1点リードと、30分間は全くの互角だったが、最終クォーター序盤にデンソーにとって悪夢の時間が訪れた。2-3のゾーンでインサイドを絞る中、素早いボール回しとハイポストにボールを入れられたことでゾーンを崩されると、渡嘉敷来夢に連続でペイントエリアでの失点を許した。さらに渡嘉敷への警戒が増したことでアウトサイドの警戒が薄れてしまい、2本連続で3ポイントシュートを射抜かれ、2分間で0-10と一気に突き放された。
ともにチームハイとなる16得点13リバウンドを記録した赤穂ひまわりは、ENEOSの勝負どころの集中力に脱帽するしかなかった。「自分たちは離せるところで離せなかったのに、相手は流れを持ってくるシュートを入れて、そこで離されたのがキツかったです。途中まで良い試合ができたとしても、大事なところで決め切る力は向こうの方が一枚上手でした」
大会ベスト5を受賞し、この試合では高確率でミドルシュートを沈めて14得点を挙げた赤穂さくらも、ひまわりと同様の見解を示した。「40分を通して自分たちのバスケをしていたENEOSさんは本当に強かったです。自分たちは抜けてしまう時間帯もあったので、そこを突かれた点差になったと思います。そこを突き詰めれば自分たちも必ず勝てるという感覚はつかめたので、リーグ戦で頑張っていきたいです」
ENEOSの長岡萌映子が「ゾーンの典型的な攻め方ができた」と、最終クォーター序盤のランを振り返っているように、ゾーンを攻略されたことが勝敗を分けるターニングポイントとなった。しかし、渡嘉敷に32得点、長岡に18得点を許したように、数字だけを見ればインサイドでの失点が敗因となったとも言える。実際にデンソーの指揮官、ヴラディミール・ヴクサノヴィッチも「ENEOSのようなサイズのあるチームと40分間戦うのは非常に難しかったです。特に長岡選手や渡嘉敷選手に対しての対応が難しかった」と、ツインタワーのパフォーマンスについて言及した。
多くの時間帯で渡嘉敷のマークを務めた髙田真希は、日本代表で常に自分よりも大きな相手とマッチアップをしてきた経験を持つ、リーグを誇るディフェンダーだ。彼女のディフェンスは決して悪くなく、それを上回った渡嘉敷のパフォーマンスを褒めるべきだろう。髙田は「勝って良い経験がしたかったけど、こういう経験も必要」と素直に敗戦を受け入れたが、すでに気持ちを切り替え前だけを見ている。「相手の攻め方にアジャストできず、ディフェンスが中途半端なところを突かれて離されました。そこを徹底できれば、どの相手でも勝てるという手応えもつかんだので、一つひとつのスタンダードを上げていきたいです」