桜花学園は今夏のインターハイで3回戦敗退を喫したが、そのショックから立ち直って2022年の総決算となるウインターカップに向かう。インターハイでは強力な留学生プレーヤーを擁する京都精華学園を相手に敗れたが、そこからインサイドを任される福王伶奈と深津唯生は大きな成長を遂げている。ともに四日市メリノール学院中学で全国を制した『中学MVP』の先輩後輩で、ミニバス時代から一緒にプレーしている2人は、性格は正反対でもお互いに支え合い、刺激し合っている。
「頼りになります」、「あなたの方が頼りになるよ(笑)」
──まずは福王選手の自己紹介をお願いします。深津選手は、中学からの先輩がどんな人かを教えてください。
福王 桜花学園2年生の福王伶奈です。好きなプレーはスクリーンを掛けることとゴール下のフックシュートです。好きな食べ物は……タピオカミルクティーかな? でも今は帰省した時に飲むぐらいです。
深津 福王さんとは小学校5年生から一緒にプレーしているので、今年で6年目になります。まず背が高いのでゴール下で頼りになります。私がチームで一番大きいと、相手チームの大きな選手にマークされるんですけど、福王さんがいると一番サイズのある選手の注意が福王さんに行くので、自分のプレーが生きる場面があります。福王さんの存在は本当に大きくて、頼りになります。
福王 あなたの方が頼りになるよ(笑)。
深津 バスケ以外だと小説を書くのが好きで、いつもいろいろ空想しながら書いています。でも書くだけで絶対に見せてくれないんですよ。
福王 中学時代は同級生にちょくちょく読ませていましたけど、先輩や後輩には絶対見せないですね(きっぱり)。
深津 福王さんはどんな時でも女の子な感じなので、試合ではカッコ良いところを見せてほしいです!
──コーチから、福王選手が一番成長したのは戦う姿勢だと聞きました。きっかけはありましたか?
福王 インターハイの京都精華学園との試合では自分の出来が悪すぎて何もできなくて悔しい思いをしたので、トップリーグでは正直、チームで勝つというより個人的雪辱を果たしたいという思いで頑張ることができました。試合の前にチームディフェンスの練習をしていて、その時にチームメートが留学生役ですごく身体を張って教えてくれました。みんなの支えがあったから、あれだけできたんだと思います。
──では次に深津選手の自己紹介をお願いします。
深津 1年生の深津唯生です。愛知県出身です。得意なプレーはリバウンドとルーズボールで、好きな食べ物はきゅうりとごぼうの唐揚げです。ごぼうの唐揚げは最近初めて食べて、おいしすぎてハマりました(笑)。
福王 深津さんは初めて会った時から身体ががっちりしていてリバウンドもルーズボールも強く、最初は本当に年上だと思いました。試合でも練習でもバスケに一生懸命で、「これは無理だろう」と思うリバウンドとかルーズボールも必ず追い掛ける選手です。ミニバスの監督が「深津はずっとリバウンドに飛び込んでいるから、自然とボールが深津のところに落ちる」とおっしゃったことがあって、まさにその通りです。
深津 知らなかった……(笑)。でも、まだまだ取りに行きます!
──褒めすぎかもしれないので、深津選手のちょっと困ったところも聞いておきましょうか?
福王 バスケでは賢いんですけど、英語ができません。
深津 得意科目は体育です!(笑)。
「学年に関係なく遠慮なしの思い切ったプレーをしたいです」
──リバウンドやルーズボールはみんな大事と言いますが、深津選手がそこまで行ける理由は何でしょう?
深津 ミニバスの頃は何も考えずにボールに飛び付いてたんですけど、中学になって自分より大きい相手も増えたし、身体の強い人もいて飛び付いても取られることが多くなってしまってた時に、稲垣愛先生からボックスアウトで先に相手にコンタクトしてから飛び付くのを教えてもらって、リバウンドを取れる回数が増えました。
──2人とも中学でMVP級の活躍をしてきました。四日市メリノール学院に行って良かったこと、学んだことは何ですか?
福王 稲垣先生から精神的な面で大人になることを学びました。入学する前は自信を失くしていて、「こんな自分じゃ駄目なんだ」と思っていたんですど、稲垣先生が自分にもう一度自信をつけさせてくれました。稲垣先生がいなかったら自分ここまで来れていなかったし、一番尊敬している人です。
深津 中学時代の私は何でも言ってしまうような性格の問題児だったんです。そこで一人じゃ生きていけないし、周りの助けも必要だと教えてもらいました。「将来、自分を見てくれる人から良い印象を持ってもらえるような選手になりなさい」と言われたのがきっかけで、人としてもすごく変われたと思います。一つの物事に対していろんな見方を学んだというか、人の悪いところだけを見ずに良いところを探して自分でもやってみるとか、小さな気付きが大事だと教えてもらいました。バスケを始めたのはミニバスの先生のおかげなんですけど、人生が変わったきっかけは稲垣先生に与えてもらいました。
──間もなくウインターカップですが、福王選手は今回は主力として挑むことになります。
福王 去年は朝比奈(あずさ)さんの相手役として練習していました。朝比奈さんは私にとって神棚に飾って拝むぐらいの存在です。ポジションは同じですけど考え方もプレースタイルも違いますが、目指す最終地点は同じなので、頑張って追いかけます。
──深津選手にとっては初のウインターカップになります。大会にはどんなイメージを持っていますか?
深津 コートがすごく広くて、今までにない威圧感があるんだろうなとイメージしています。でも自分がどれだけ通用するのか試してみたいし、良い冬にしたいです。
──ウインターカップではどんなプレーをしたいですか?
福王 オフェンスでキャッチミスとかイージーシュートのミスがトップリーグでは目立っていたので、それをなくしたいです。
深津 私は外のシュートが打ててドライブにも行ける、相手から見て守りづらい選手になりたいので、もっと自分に自信を持ってプレーしたいです。学年に関係なく遠慮なしの思い切ったプレーをしたいです。
「ミニバス、中学、高校とずっと2人一緒で、本当に一番やりやすい選手」
──お互いに求めたいことは?
深津 福王さんはボックスアウトを頑張ってください。そうしたら私がリバウンドは取るので!
福王 頑張ります!
──長年一緒にプレーしているからなのか、お互いを知り尽くしていてリスペクトもあって、良い関係ですね。
福王 ミニバス、中学、高校とずっと2人一緒で、本当に一番やりやすい選手です。深津選手がシュートを打つと「どうせ入るからいいか」ってディフェンスに戻っているぐらい(笑)。
深津 そこはオフェンスリバウンド行ってください(笑)。福王さんは優しいので、自分は後輩なんですけどしゃべりやすくて、一緒にプレーしていても気持ちが楽だし、そこで余裕を持ったプレーができるんだと思います。だからすごく仲が良いのに、なんか周りからは仲が悪いみたいに思われてるんですよね。
福王 深津さんは結構ズバズバ言うタイプで、私は言われるとシュンとなって黙っちゃうから!(笑)
──最後にウインターカップで2人のプレーを見るバスケファンへのメッセージをお願いします。
深津 1年生ですけど。とにかく走ってルーズボールとリバウンドでチームに流れを持って来るつもりなので、そこを見てもらいたいです。
福王 留学生に対するディフェンスとボックスアウト、ゴール下で身体を張ったプレーで、もっともっとレベルアップした姿をお見せしできるように頑張ります。応援よろしくお願いいたします。