伊東友梨香&ファール・アミナタ&伊良部由明

198cmの長身に長いウイングスパンで1年生の時から話題となった留学生、ファール・アミナタが3年生になり、キャプテンを務めるようになった東海大学付属福岡は、夏のインターハイで3位に食い込むなど成長著しいチームだ。アミナタ加入前には日本人選手だけでウインターカップ初出場を決めており、地力もある。ただ、全国で注目されるチームになっても、彼女たちの良さは変わらない。バスケを楽しみ、魅せるプレーを意識しながら勝ちに行く。ウインターカップでは強豪校との対戦が予想されるが、選手たちはそれさえも楽しみにしている。

伊良部由明「魅せるプレーに血が騒ぐ感じがあります」

──まず驚いたのはアミナタ選手の日本語の上達です。この1年でだいぶ上手くなりましたね。

アミナタ 全然です。ちょっとだけできるようになったけど、まだまだいけます。

伊良部 アミナタさんは1年間で言葉も成長したけど、キャプテンになってから練習中に声を出したりとかの部分でも成長しています。今は言葉以外にも手話を覚えだして、そういうところがすごいんです。

アミナタ 手話のドラマがあって、それを友達がやっているのを見て覚えました。

伊東 アミナタさんはプレーが力強くて頼りになります。前はファウルが多かったけど、最近は自分でコントロールして抑えられるようになっていて、そういう精神的な成長もすごいと思います。

アミナタ 前はどの試合でも5回ファウルしてたけど、練習からファウルをしない守り方を学んだり、ブロックだけに頼らないプレーとか、先生に言われたことをこの1年間やってきて、少しずつ成長しています。

──伊良部選手、自己紹介をお願いします。またアミナタ選手と伊藤選手からは、伊良部選手がどんな人か教えてください。

伊良部 2年生の伊良部由明です。ポジションはポイントガードで、好きな食べ物は米粉パンです。得意なプレーはオフェンスリバウンドで、得意というか意識してやっています。あとはアシストだったり魅せるバスケを心掛けて、見ている人を楽しませたいと思ってプレーしています。沖縄には結構独特なバスケのスタイルがあって、私もそれをずっとやってきました。あこがれているのは並里成選手なんですけど、沖縄出身で活躍している選手をずっと見てきて、魅せるプレーに血が騒ぐ感じがあります。

アミナタ 由明は大好きな後輩です。由明が1年生の時から一緒に試合に出ていて、合わせのプレーとかが結構あって、由明とコミニケーションを取ることによって強さが倍になるというか、分かってない状態でプレーしていると由明から「どうしたいですか?」と聞いてきてくれて、コミニケーションを取ってくれます。

伊東 由明さんは試合で良いパスをくれて、すごくシュートが打ちやすいです。自分たちにディフェンスが寄った時に、不意にドライブに行くのが効くし、それでディフェンスが寄らなくなるので助かります。オフコートでは寮が同じ部屋なんですけどすぐソファーで寝るし、やりっ放しなことが多いのでそこは直してほしいところ。あとはよく歌ってます。テレビにYoutubeを繋いで流しながらリモコンを持って歌ってて、お風呂でも熱唱の声が聞こえます(笑)。

──伊良部選手の十八番は?

伊良部 Uruさんの『あなたがいることで』です!

伊東友梨香&ファール・アミナタ&伊良部由明

伊東友梨香「自分が得点を取って流れをつかむウインターカップにしたい」

──では伊東選手、自己紹介をお願いします。

伊東 1年生の伊東友梨香です。ポジションはパワーフォワードで、中学校は北九州の折尾中で、全中が準優勝でJr.ウィンターカップがベスト8でした。好きな食べ物は焼肉です。

アミナタ 友梨香も大好きな後輩です。1年生の中で一番コミニケーションを取って、試合でもできてないところがあったら、友梨香から「アミナタさん、これしましょうか?」とか「どう思いますか?」とコミニケーションを取って、良いプレーを作ってくれます。

伊良部 友梨香は1年生なのにチームの中心です。1年も経ってないのにチームの中心になれるのは、中学校のキャリアもあると思うけど、友梨香自身の勝負に対する強い気持ちは自分が見てても尊敬します。寮の部屋では自分よりもしっかりしてて、オンとオフがはっきりしていて、オフの時めっちゃ女子なのが可愛いです。笑顔が誰よりも明るくて、元気がないところを見たことがない。チームに欠かせないムードメーカーです。

──1年生の伊東選手はインターハイを経験して、ウインターカップ初挑戦となります。

伊東 インターハイの県予選とか九州大会では全く自分のプレーも出せず、思い通りに行かないことが多くて、インターハイでは「絶対にやらないといけない」って気持ちで臨みました。何よりも自分は笑顔でみんなを明るくしてプレーをしようと思っていて、インターハイはそれができたんですけど、準決勝では楽しむだけじゃ勝てないことがよく分かる試合で、とても悔しかったです。インターハイは前半がとても悪くて後半勝負になっていたんですけど、ウインターカップは前半からちゃんと良い試合ができるようにとチームでずっと言っているので、そのためにまずは自分が得点を取って流れをつかむウインターカップにしたいです。

──チームでこんな問題があって、みんなで乗り越えた、みたいなエピソードがあれば教えてください。

伊良部 練習の中でスリーメンがあって、10本連続で決めないといけないんですけど、パスミスだったりシュートを落としたりで永遠に終わらず、声も出なくなり先生も怒って帰ってしまったところでアミナタさんと稲次菜々子さんが3年生同士で言い合いになって最悪の雰囲気になりました。その日は自分たちでどうにかして終わらせたんですけど、言い合いになった時に本気でぶつかり合えたのは良かったと思っていて、そういう環境があるから今はコートの中で本音が言える関係になったのかなって。それは去年のチームにもあって、それが伝統として受け継がれて上下関係なく言い合えるのは、先輩たちが見せてくれるからなのかなと思います。

アミナタ その時はみんなでテーマを決めてコートに入ったのに、それをやろうとしないから「じゃあこの時間が無駄だから帰った方がいいじゃん」って帰ろうとしました(笑)。

伊良部 アミナタさんは前はちょっとキツいメニューになったら体調を崩して休んだりしてたけど、3年生になって責任感が出てきましたね。

アミナタ 1年生の時は先輩たちに引っ張られてやっていました。2年生から「これじゃダメだな」と自分で思い始めて、3年生になってからは先生に言われなくてもやるようになりました。

東海大学付属福岡

アミナタ「コートにいる全員が楽しんでバスケをやります」

──ウインターカップの組み合わせ抽選の結果が出ました。最初に見た時の感想を教えてください。

伊良部 自分たちのバスケットをすれば勝てると思いますが、1試合1試合を大事に戦っていきたいのでまずは初戦です。多分、次は桜花学園さんで、3年生は3年間当たったことのない桜花学園さんとの試合を楽しみにしているし、自分たちも絶対に負けない気持ちで戦います。桜花学園さんに勝てればそのまま日本一になれる、そういう気持ちで今は練習しています。

伊東 去年、全中の決勝でメリノールさんに負けたんですけど、その時は深津唯生選手とマッチアップしていて、上手いし強いし、すごかったです。その深津さんが桜花さんにいるので、リベンジマッチを楽しみにしています。桜花さん以外だと京都精華さんの八木悠香さんがポジションが同じで、中学の頃からテレビで見ている選手で、リバウンドも強いし堀内(桜花)さんとの合わせも上手いので、そこと戦うためにも一戦一戦を大事にやっていきたいです。

アミナタ 京都精華さんのイゾジェ・ウチェ選手に勝ちたいです。

──この1年間、自分が成長できたきっかけは何ですか?

アミナタ 3年生になってハイポストからのドライブだったりプレーでの成長があって、それを先生が一つひとつ褒めてくれるのがうれしいです。身長が高い分、腰を低くするともっとプレーの良さが出るとアドバイスをもらって、それで成長できたと思います。

伊良部 2年生になってエースの浜口さくらのケガがあって自分のプレータイムが伸びて、先生から求められることも増えて、変わらなきゃと思ったのがインターハイだったんですけど、本当に何もできなくて悔しい思いでした。それで気持ちが落ちていたんですけど、ウインターカップ予選はチームの形が変わって、今のバスケットはすごくやりやすいし、決勝でも自分のプレーに自信が持てました。浜口のケガで何もできなかった悔しさが、今の自分に繋がっていると思います。

伊東 インターハイ予選では先生から自分ばっかりってぐらい怒られ続けて、自信がなくなってバスケが楽しくないって初めて思ったんですけど、泣きながらお兄ちゃんに電話したら「お前ならいける」って言ってくれました。中学のコーチにも試合前日にいつも連絡してるんですけど、「いつも友梨香らしく」って一言にすごく勇気をもらいました。

──ウインターカップではどんなプレーを見せたいですか?

伊東 自分たちは試合中にたくさんコミュニケーションを取れるチームなので、まずはそこを見てほしいです。インターハイではまだ自分たちで解決できずにズルズルいっていたんですけど、ウインターカップ予選はミスしたらみんなで集まって、解決してから次のプレーに行けるようになったのが成長です。笑顔で明るい、みんなも見てて楽しめるチームだと思うので、笑顔でプレーしている姿を見てほしいです。

伊良部 笑顔が良いチームだし、一人ひとりが持っている個性がコートの中で発揮できるので、そこをしっかり見てほしいです。ベンチの盛り上がりも本当に楽しい、良いチームだなと思ってもらえるはずなので、コートでのプレーだけでなくチームワークも注目してもらいたいです。個人的には全国のハイレベルな試合で泥臭いプレー、ディフェンスに注目してほしいです。「日本一のファンタジスタになりたい」という目標があるので、魅せるバスケをやっていきます。

アミナタ コートにいる全員が楽しんでバスケをやります。ミスした後に落ち込まないで、周りがハイタッチとかコミュニケーションを取るところが良いチームなので、そこを見てください。個人的には去年は自分が思い通りのプレーができなくて悔しい思いをしたから、今年最後のウインターカップではリバウンドと得点の集大成を見せ付けたいです。インターハイでドライブが行けたから、そこをもっと自信を持ってやりたいのと、今はアウトサイドの練習もしているので、3ポイントシュートを見てほしいです。