「昨日の敗戦から立ち直れたことを誇らしく思います」

島根スサノオマジックは12月5日、敵地で川崎ブレイブサンダースと対戦した。コート上の5人が連動するチームオフェンスでノーマークのチャンスを多く作り出した島根が攻守で川崎を圧倒し、89−61で快勝。指揮官のポール・ヘナレが「我々はチームとして連敗をしないことにプライドを持っていて、選手たちがそこにうまく反応してくれたと思っています」と語るように、64-80で敗れた前日から見事なカムバックを果たした。

試合は互角の立ち上がりとなったが、第2クォーターに入ると島根は川崎のゾーンディフェンスに対し、フリースローライン付近の空いたスペースを起点にしたオフェンスで確率良くシュートを決めていく。一方、川崎もオープンのコーナースリーなどチャンスを作り出すが、それを決めきれないことで島根が残り3分にはリードを16点にまで広げる。だが、川崎はここからニック・ファジーカスの得点などで盛り返し41-33と点差を1桁に縮める。

最後は川崎の流れで前半は終わったが、第3クォーターに入ると再び島根が主導権を握る。守備では川崎のインサイドアタックに対し、人数をかけて徹底的に抑えにいく。アウトサイドシュートもローテーションでしっかりカバーすることで、川崎はこのクォーターで3ポイントシュートが11本中わずか1本成功を含むフィールドゴール18本中2本成功と完全にオフェンスが沈黙する。攻撃では川崎とは対照的にテンポの良いボール回しで切り崩していき、22-8のビッグクォーターを作る。この結果、63-41と大きく突き放した島根はそのまま第4クォーターも危なげない展開で楽々と逃げ切った。

この試合、島根はニック・ケイがフィールドゴール13本中11本と高確率で沈め33得点9リバウンド5アシストと大暴れ。同じくフィールドゴールを13本中11本成功させて22得点8リバウンド4アシストを挙げたニカ・ウィリアムスとともにビッグマンの活躍が大きな勝因となった。

明日は天皇杯が控える過密日程も「この日程の準備はプレシーズンからしています」

「まず昨日の敗戦から立ち直れたことを誇らしく思います。いつもコーチ陣が良いスカウティングをしてくれていて、昨日はうまく遂行できなかったですが、今日はしっかりできました」

このように試合を振り返るケイは、相手ディフェンスの穴を的確に突き高確率でシュートを決め続けた自身のパフォーマンスは、周囲のサポートがあってこそだと強調する。「シュートを決められたのは素直にうれしいです。各選手が本来いるべきスポットにいて、そこから良いスクリーンをかけた時にオープンショットが打てます。自分だけでなくニカ選手など他の選手もそれができていて、しっかりとチームオフェンスを遂行できたことが良かったです。」

現在、島根はリード・トラビスが右第三中手骨骨折によってインジュアリーリスト入りしており、ケイの負担は大きく増している。この試合でのプレータイムは39分53秒、トラビスの離脱後は他にも40分出場を2試合こなすなどフル稼働となっている。当然、コンディション的に厳しいだろうが、「我々はプロフェッショナルです」と出場時間に関係なく自分の役割を遂行していくだけと語る。

「まず、リード選手にはなるべく早く復帰して欲しいです。自分の出場時間は伸びていますが、チームとして意識しているのは細かい部分をうまくやることです。それができれば我々のオフェンス、ディフェンスとも良いことが起こります。試合ではその時々で自分の仕事をしないといけない。プレータイムが20分、40分、あるいは短い時間だとしても、一人ひとりが自分たちの仕事をしてステップアップすることを心がけています」

島根の次戦は明日、ホームで行われる天皇杯4次ラウンドの群馬クレインサンダーズ戦だ。川崎でのナイトゲームを終え今日、島根へと移動し明日には試合とほぼ休息も取れない過酷な日程で不満の一つでも言いたくなるものだが、ケイは前から分かっていたことで、対策はできていると話す。

「この日程のための準備はプレシーズンからしています。コンディション面は、シーズン中でも負荷を減らしながら集中できるように調整しています。スケジュール面で厳しいですが、それを乗り越えるための準備はできていると思います」

昨シーズンから島根は、主力のケガなど何度も逆境に打ち勝つことでリーグ屈指の強豪チームへと進化してきた。明日の試合でもその底力を発揮して勝利をつかみ取るためには、自分の役割を着実に遂行することでチームプレーを機能させるケイの職人技が必要だ。