アルバルク東京

琉球の勢いを堅守で止め、接戦を制する会心の勝利

11月17日、アルバルク東京が敵地で琉球ゴールデンキングスと対戦。2週間前のホームでの対戦では連敗を喫した相手に、息詰まる守り合いの中で57-54と勝ちきった。

第1クォーター、交互に点を入れ合う試合の入りとなったが、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが「出だしはホームの琉球が、昨年チャンピオンである我々に対して高いモチベーションで来て、リードを許してしまった」と振り返るように、開始直後からボルテージが最高潮となっている会場の声援を受けた琉球が猛攻を見せる。残り2分からジェフ・エアーズの3ポイントシュート、ターンオーバー奪取からのダンク、さらに古川孝敏の3ポイントシュートと怒涛の8連続得点を挙げて20-13と先行する。

このまま一気に畳み掛けたい琉球だったが、第2クォーターに入るとA東京は持ち味の激しいディフェンスを取り戻すと、馬場雄大の豪快なダンクで応戦。また、琉球も堅いディフェンスを続けることで互いに得点が停滞し、前半は琉球の32-27で終了する。

後半に入ってもロースコアの流れが続くが、その中でもA東京の強度の高いディフェンスに琉球は攻撃のリズムを崩してしまう。佐々宜央ヘッドコーチが「オフェンスでズレを作れずにいたことで、第3クォーターにはズレを作れているのに、できていないと思ってしまう。ゴール下に行けるのに行かない、空いているのにパスを出せない悪循環になってしまいました」と語るように自滅の側面もあり、このクォーターでわずか8得点。この結果、A東京が42-40と逆転する。

アルバルク東京

勝負どころで小島が、竹内がチームを救う

しかし、第4クォーターに入ると琉球は、ファウルトラブルでベンチに下がっていた並里成がコートに戻ることで積極性を取り戻す。ここからは一歩を譲らないコンタクトの激しい削り合いとなるが、その中でも琉球は岸本隆一の連続3ポイントシュート成功によって、残り4分に49-47と逆転する。

ここでA東京は小島元基がチームを救う。直後のオフェンスで3ポイントシュートを沈めると、さらに速攻からフリースローを獲得して2本きっちり成功と、貴重な5連続得点で再逆転に成功。そして残り約2分には、ここまで全く当たりが来ていなかった竹内譲次が値千金の3ポイントシュートを決めてリードを6点に広げる。

その後は琉球も粘りを見せ、残り20秒、3点差を追う場面でマイボールとする。しかし、ここで「最後のショットで『どうしたらいいか?』となってしまいました。もっとしっかりと指示をすれば良かったです」(佐々ヘッドコーチ)、「客観的に自分が行った方がという思いもありました。ただ、あの時間帯は曖昧だった。ああいう形になってしまったのは悔しいです」(岸本)と琉球はセットオフェンスを構築できず。岸本がタフショットを打たされる格好となって同点を狙った3ポイントシュートは外れ、A東京が勝利した。

琉球ゴールデンキングス

奮闘した琉球、敗因は「我慢のレベルが違う」

死闘を制したA東京の指揮官、パヴィチェヴィッチは「戦術面ではいろいろとありますが、その前にフィジカル面、激しさが一つの鍵となりました。そして我々は前回、2試合負けていますのでそこだけは譲れない。エネルギーレベルも相手以上に出すことで勝ちに繋げられました」と試合を総括。チームの根幹であるタフさで上回ったことを第一の勝因に挙げている。

一方、琉球の佐々ヘッドコーチは、「第4クォーター、クオリティショットと呼んでいるフリーのシュート場面を作れてはいましたが、こちらが決められず向こうが決めきった」と要所での決定力の差が出たと語る。さらに勝敗を分けた要因を次のように続ける。

「今日のような激しい試合が、これぞバスケットです。人生と同じで辛いことがある中でいかに我慢してできるのか。その中で、東京さんと僕たちでは我慢のレベルが違う。東京さんはこういう展開になるのが当たり前ですが、僕らは我慢するという段階。こういう競った展開になってもトッププレイヤーは『来たか』と冷静にできる。我慢の試合で、どういうプレーをしていくのかはチームの課題です」

最後までやるべきことを貫き通す心身の屈強さでA東京が一日の長を見せ、わずかな差となったこの試合。果たして今日の琉球は、ホームの意地を見せて、昨日以上の気迫を見せてやり返すことができるのか、今日の第2戦も激闘を期待したい。