逆境の宇都宮ブレックス、佐々宜央の決意「ここからどう巻き返していくのか、チャレンジだと思ってやっています」

逆境の宇都宮ブレックス、佐々宜央の決意「ここからどう巻き返していくのか、チャレンジだと思ってやっています」

2022/11/18 12:00
佐々宜央

シーズン序盤のBリーグにおいて一つの大きな出来事と言えるのは、宇都宮ブレックスが3勝6敗と出遅れたことだ。昨シーズンの優勝チームから安齋竜三ヘッドコーチが退任したものの中心選手たちは健在で戦力に大きな変化はなかっただけに、この成績に衝撃を受けているファンも少なくないだろう。安齋の後任としてアシスタントコーチから指揮官へ昇格した佐々宜央は、この逆境をどのようにとらえているのか。代表ウィークによる中断を挟んでのリーグ再開前に話を聞いた。

衝撃となったマブンガの契約解除「上手くいかなくて喧嘩別れしたわけではない」

――まず、3勝6敗という成績に対する率直な感想を聞かせてください。

正直、6勝3敗にすることはできたと思います。接戦をすべて勝てるかは別の話しになりますが、琉球ゴールデンキングスとの2試合、千葉ジェッツとの1試合以外の3試合は勝てるゲームを落としてしまった認識です。ただ、勝った試合も接戦が多く、もっと成績が悪くなった可能性もありました。もちろん、今が厳しい状況であることは認識しています。

――優勝チームからメンバーがほとんど変わっていないからこそ、今の成績に厳しい声が出ている部分はあると思います。

ブレックスはチームバスケットで戦うチームだからこそ、そのうちの1人、2人が変わるだけで全体のパズルの組み合わせに影響が出てくるのは事実です。これは言い訳になってしまいますが、外国籍選手で上手くいかないところがありました。そして、ポイントガードが一人いなくなったのは大きいです。個人名はあまり言いたくないですが、誰のことを指しているのかは皆さんも分かっていると思います。(テーブス)海は代表でも頑張っていてすごくうれしいですが、そこの部分でこれからは笠井(康平)をもっと上手く使っていきたい。練習も非常に良い感じでやってくれていますし、ガードを上手く回していくことが大事になると思います。

――外国籍選手で上手くいかなかった部分として、この中断期間中にジュリアン・マブンガ選手と双方合意での契約解除となりました。

チームと上手くいかなくて喧嘩別れしたわけではないことは、ジュリアンのためにも伝えておきたいです。チームとしてジュリアンが馴染むように努力し、彼が富山グラウジーズ、京都ハンナリーズ時代にやっていたプレーも導入していました。ジュリアンも「自分のためにチームが合わせる必要はない」と言い、そこへの努力はありました。たった9試合であきらめるの? という見方もあると思いますが、僕たちからしたらされど9試合という部分はあります。このまま不明確な状況で行くのはお互いのために良くないというところでした。

佐々宜央

「守備のインテンシティはかなり低く、そこを上げきれていないのが最大の問題」

――開幕9試合を終えた中で、今のチームで変えていかないといけない部分はありますか。

コンディショニングの持っていき方を変えないといけないです。ここまでディフェンスのインテンシティはかなり低く、そこを上げきれていないのが最大の問題だと思います。点を取れていないことを問題視する声が多いと思いますが、激しいディフェンスから流れを引き寄せることができていない。それがあって、オフェンスにエナジーを持っていけずブレイクも出せていない部分はあります。

インテンシティを出し切れていないのは昨シーズンからの問題でした。それもあって昨シーズンもレギュラシーズンでは勝ち星が伸びていかないところがありましたが、チャンピオンシップではスカウティングがハマったことで守れたし、オフェンスでは相手の弱みに付け込めていました。ルーズボールへの執着心などは落ちていないですが、Bリーグ全体のインテンシティが上がってきていることによって、ブレックスが前に比べると目立たなくなっている部分はあります。

その中でブレックスがインテンシティで優位に立っていくには、ベンチメンバーをもっと起用していかないといけない。先発の5人は昨シーズンよりプレータイムが増えていて、鵤(誠司)、比江島(慎)、遠藤(祐亮)も1試合25分以上になっています。若手の活躍に期待していますし、先発陣のプレータイムを減らしてチーム全体のインテンシティを上げていくのが目標です。

――先発は安定していて、ここで主導権を握ってもセカンドユニットのところで詰められるのは昨シーズンも問題になっていました。

ベンチメンバーは昨シーズンからの課題であり、そこを改善すべくジュリアンを取った部分もありました。昨シーズンのチャンピオンシップは海、チェイス(フィーラー)が踏ん張ってくれたのが大きかったですが、2人はいなくなりました。その中でヤン(ジェミン)が入ってくれて助かっています。大阪エヴェッサ戦では(ディージェイ)ニュービル選手をとてもアグレッシブに守ってくれました。仙台89ERS戦では向こうのビッグラインナップに対してフィジカル、高さの面で貢献してくれました。勝った試合における彼の働きは大きいです。

ユニットとして全部は上手くいっていない中でも(竹内)公輔の頑張りは素晴らしいです。37歳のベテランですが、身体を張ってインテンシティを上げてくれています。一方でヒデ(荒谷裕秀)は故障もあって出遅れてしまった部分があります。彼もこれから調子を上げていってほしいですし、そこに笠井や新しい外国籍選手を加えることでセカンドユニットを改善していきたいです。

佐々宜央

「下克上をやってやろうという昔の自分に戻ってきたところもあります」

――琉球ゴールデンキングス時代に続き、今回で2度目のヘッドコーチとなっています。ここまでの自身の采配についてどのように感じていますか。

琉球の時のコーチングスタイルと今は全く違って、竜三さんがやってきたスタイルを続けていたところはあります。ただ、人が代わっているのに同じではいけないと今は思っている時期です。この中断期間では、練習の方法や選手の組み合わせとか、いろいろと変えたりしています。優勝チームだからこそ変化を恐れていて、自分がヘッドコーチになったからと変えていく難しさはありました。それが3勝6敗となり、下克上をやってやろうという昔の自分に戻ってきたところもあります。

自分としても今は変革期で、どう指導をしていくべきなのか試行錯誤しているところです。ただ、その中でブレていないのは選手に迷わせないことです。もちろん、結果が出てないので良い感じとは言えないですが、自分の中ではいろいろなものが繋がってきている感覚は少なからずあります。

――琉球時代と比べると、今は試合中に声を出したりと前に出る機会が少なくなった印象があります。

そこはブレックスで学んだところです。自分はキャラが強いので前に出すぎると、アシスタントコーチのモー(アベディニ)、マッチ(町田洋介)が出ていけない。彼らにも指示を出したり、いろいろとやってほしい意図があり、前に比べると動かなくなりました。

――あらためて優勝チームの指揮官を務めることでプレッシャーを感じることはありますか。

ディフェンディングチャンピオンだからというプレッシャーはないです。ただ、毎試合、バスケット自体の質を高めていくために、どうすれば良いのか自分に対するプレッシャーはあります。雇われの身としてダメな時は首を切られるし、やれることをやりきるしかないと割り切っています。今は過度にネガティブにならず、ここからどう巻き返していくのか、チャレンジだと思ってやっています。

この成績であれば、自分に批判的な人がいることは理解しています。僕もファンだったら言いたくなるでしょうし、それは当然の反応だと思います。その中で周囲の不安を払拭するには、結果を出していくしかないです。自分ができるのは目の前の状況に集中するだけです。そして今はチーム全員がしっかり集中できています。みんながやるべきことをしているのが、このチームの良さです。あとは結果に対しての評価を受け入れるだけです。そういう意味で良い雰囲気で練習をできています。焦らずにやるべきことを続けて突き詰めていき、チームのモチベーションを保っていく。いろいろなことを言われていても、ブレずに集中していけば良くならないことはないと思っています。

――最後にシーズン中盤に向けてどんな姿を見せていきたいか、意気込みをお願いします。

こうなれば良くなる未来は見えています。最悪なのは何をしたらいいのか分からない迷子になることで、それがないのは光の部分です。この1カ月間の反省でいろいろと見えてきたものをパフォーマンスに出していく年内にしていきたいです。ブレックスの良さは逆境を乗り越えていくところで、それを今回も見せられると思っているので頑張っていきます。

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