ジャリル・オカフォー

Gリーグのカピタネスが、何年か後にNBAに『昇格』を果たす?

NBAは現在の30からチーム数を増やすエクスパンション案を現状では「検討していない」としているが、NBAの人気が年々高まり、各クラブの市場価値も右肩上がりの状況で、チーム数増加を望む声は多い。チーム数を増やしてもプレーレベルやエンタテインメントの質が低下しない見通しが立つのであれば、いずれエクスパンションは実施されるだろう。

スーパーソニックスが移転した2008年以降はNBAチームを持たないシアトル、そしてエンタテインメントの聖地であるラスベガスがその候補地となるが、それに続くのはメキシコシティだ。

NBAのある重役は「NBAがエクスパンションへと進む場合、メキシコシティが候補地の一つになるのは間違いない」と語る。現在の30チームのうちラプターズだけがアメリカのチームではないが、それが問題になることはない。

メキシコシティは2200万人の人口を擁し、これは今のNBAフランチャイズで最も人口の多いニューヨークの890万人を大幅に上回る。さらにメキシコシティには2万2000人を収容するNBA仕様のアリーナもある。

ラプターズはトロントのチームだが、一都市に限らずカナダ全体から応援されるチームとなっている。同じことがメキシコシティにも当てはまれば、新たなファンのターゲットはメキシコの人口、1億3200万人となる。

メキシコで初めてNBAの試合が行われたのは1992年。それから試合のたびに市場調査が行われ、今シーズンからはGリーグのカピタネスが本格始動した。カピタネスは2017年に創設され、2020-21シーズンからGリーグに参加する予定だったが、新型コロナウイルスのパンデミックにより計画は遅れた。

ジャリル・オカフォー、アルフォンソ・マッキーニー、シャバズ・ネイピアーといった選手が今のカピタネスでプレーしている。開幕戦には7000人を超えるファンが来て、試合は大いに盛り上がった。また先日はテキサス・レジェンズの一員として馬場雄大もメキシコシティに遠征し、カピタネスと対戦している。

カピタネスはNBAの新規市場調査のようなもので、今後、エクスパンションの議論が加速した時、カピタネスのGリーグでの試合運営の実績は大きくモノを言うはず。また、現地12月17日にはスパーズvsヒートがメキシコシティで行われる予定で、チケットはすでに完売したそうだ。この試合がいかに盛り上がるかも、今後のNBAの方針に影響を与えるだろう。NBAチームの傘下にはないカピタネスは、何年か後にNBAに『昇格』を果たすかもしれない。