鋭いドライブでディフェンスを突破し、ゲームハイの17得点でエースの仕事を果たす
関東大学バスケットボールリーグは佳境に入っている中、10月29日に首位の白鷗大と2位の東海大による大一番が行われた。ともに強度の高いディフェンスを根幹とするチーム同士だが、ゴール下への積極的なアタックを繰り出すなど激しさで上回った白鷗大が序盤から主導権を握ると、そのままリードを保ち73-52で圧勝した。
チーム全員のハードワークによる堅守に加え、白鷗大の大きな勝因となったのは17得点を挙げた脇真大の活躍だった。持ち味であるキレのあるドライブで何度も相手ディフェンスを切り崩すなど、脇の傑出した個の打開力は両チームのオフェンスにおける大きな差となっていた。
エースの役割をしっかりと遂行した脇は、「出だしのエナジーのところで、東海さんに勝っていたのかなと思います。それで最初に20-8のランを作れました。相手もケガ人がいてフルメンバーではなかったですが、52失点に抑えられたディフェンスで勝負を決めることができました」と勝因を語ると自身のパフォーマンスを次のように振り返っている。
「自分がやらなければいけない仕事は得点です。メディアの人たちにも言われていますけど、エースとして少しでも勝利に貢献できたことは良かったと思います」
この試合の前まで東海大は14連勝中と勢いに乗っており、首位の白鷗大が受けて立つ状況となっていた。ただ、全14チームが2回戦総当たりで戦うリーグ形式の中、9月4日に行われた一戦目で白鷗大は46-58と敗れている。そういった背景もあって脇は「自分たちが硬くなる必要はない。一戦目で負けているので、自分たちは首位ですけどチャレンジャーの気持ちで戦いました。全員がそう思っていて、そこは気持ちをしっかり入れてやりました」と語る。
そして何よりも自分たちのプレーを遂行すれば、どのチームにも勝てると確固たる自信を持てていることで気負いなく臨めた。「自分たちがやっていることは間違っていないです。ディフェンスからのブレイクが白鷗のスタイルで、それをやれば勝てます。緊張感は持っていましたが、焦りはなかったです。チームがまとまってきたなと思います」
リーグ優勝に大きく前進も、「本当に楽な戦いは一つもない」と油断なし
今日の勝利で白鷗大はリーグ戦残り3試合で2位以下に2ゲーム差と、悲願のリーグ戦初優勝に大きく前進している。ただ、脇に油断は全くない。「関東の1部はどのチームも強いので、相手をリスペクトして試合をしています。本当に楽な戦いは一つもない。そこは絶対に気を引き締めてやろうと言っています」
そして、リーグ戦の先にあるインカレを見据えて戦っていかなければいけないと強調する。「あとインカレまで3試合しかないので、そこに向けてしっかり調整していきます。リーグ戦を優勝して第1シードでインカレに行けたら自ずと結果が付いてくると思います」
網野友雄ヘッドコーチも、大学界を代表するウイングプレーヤーとなっている愛弟子に大きな信頼を寄せている。「チームの顔としてキレのあるドライブに加え、ハンドラーもできる良さがあります。また、リバウンドの部分でもチームを助けてくれています。彼の持ち味を最大限に生かしつつ、自分が行くところ、引かなければいけないところの判断で、コミュニケーションを取りながら彼がより良い形で躍動できるように関わっていきたいと思います」
リーグ戦も最終盤となり、さらにインカレとこれからプレッシャーのかかる試合が続いていくが、脇は4年生ガードの関屋心とともに、エースとして責任と重圧を正面からしっかり受け止める覚悟を持っている。また、チームメートの献身的なサポートがあってこそ、自分がスタッツを残せることも理解している。
「去年からエースと言ってもらっていますが、上級生になってより自分がやらないといけない自覚はあります。関屋さんとは『自分たちがやらないと試合には勝てない』と試合前からずっと話しています。2人でいろいろな大会を乗り越えてきましたし、自分たち2人を信じて付いてきてくれる仲間たちが本当に頼もしいです。みんなが信じてくれるから自分たちが生きています。インカレに向けて、しっかり気を引き締めて頑張っていきたいです」
昨年、中心選手の一人として白鷗大のインカレ初優勝に貢献した脇だが、そこから順調にステップアップし攻守でさらに進化を遂げている。また、精神面でもより成熟していることを示した今日の活躍だった。