「チームのために全力でプレーすることだけを考えていた」
マジックは敵地のピストンズ戦でシーズン開幕戦を迎えた。チームは109-113で接戦を落としたものの、NBAドラフト全体1位指名ルーキーのパオロ・バンケロは27得点9リバウンド5アシストと素晴らしいデビューを飾った。
開幕戦でありながら序盤のピストンズはディフェンスが散漫で、バンケロは自由に動くことができた。自分より大きいサディック・ベイをコンタクトで押しのけてゴール下からチーム初得点を挙げると、空いたスペースにパスを呼び込んで高く跳躍するダンク、正面からのジャンプシュートと好プレーを連発。自らのハンドリングミスからスティールを喫した時は、すぐさま反転して相手を追いかけ、シュートを背後から叩き落すチェイスダウンブロックも披露した。
ピストンズは24得点を挙げたボーヤン・ボグダノビッチ、また昨年のドラフト全体1位指名選手で18得点のうち11得点を後半に固めたケイド・カニングハム、19得点のうち13得点を後半に挙げた今年のドラフト1巡目5位指名のジェイデン・アイビーと活躍すべき選手の活躍で逆転に成功する。
これに対抗したのはバンケロだった。第4クォーターにフィールドゴール8本中5本を決めて13得点を記録。コーリー・ジョセフの上からダンクを叩き込んだシーンは、ファンにとっては長く忘れられないシーンになりそうだ。
相手が狙うブロックショットの上を通すフローター、コースト・トゥ・コーストからユーロステップでディフェンスをかわしてのレイアップと、その後もバンケロの見せ場は続いたが、勝利にはあと一歩届かなかった。
試合後のバンケロは「たくさんの意味があったと思う」とデビュー戦を振り返る。「もちろん勝ちたかったけど、チームのために全力でプレーすることだけを考えていたんだ」
NBAドラフト1位指名選手がデビュー戦で25得点5リバウンド5アシスト以上のスタッツを残したのは、過去にカリーム・アブドゥル・ジャバーとレブロン・ジェームズしかいない。バンケロは「クレイジーだね」と驚いてみせ、「チームメートが僕がオープンになるのを見逃さずパスをくれたおかげだ。僕はいつもイージーな得点を意識している。簡単に点を取れればそれが一番良い」と語った。
マジックは敗れたものの、バンケロだけでなくジェイレン・サッグスが21得点、フランツ・バグナーが20得点と、今後チームの主力となるべきタレントが開幕戦から好調なパフォーマンスを見せたのは収穫と言える。