コービーの予見、デュラントの確信
今シーズンから体制を一新して本格的な再建を始めたレイカーズ。2年目のディアンジェロ・ラッセル、3年目のジョーダン・クラークソンとジュリアス・ランドル、2016年ドラフト全体2位で指名されたブランドン・イングラムといった才能ある若手を中心として、経験豊富なベテランが脇を固めるチームは、下馬評を大きく覆し、開幕から16試合を終えて8勝8敗と大健闘を見せている。
今のレイカーズの状況を見ていると、2000年代後半のサンダーが思い起こされる。ケビン・デュラントがルーキーだった2007-08シーズン、まだ本拠地はオクラホマシティではなくワシントン州のシアトルに置かれ、チーム名もスーパーソニックスだった。
デュラントの1年目は20勝62敗と振るわず、ラッセル・ウェストブルックが加入し、本拠地移転に伴いチーム名もサンダーに改名されて臨んだ1年目の08-09シーズン序盤、成績不振を理由に当時の指揮官PJ・カーリシモが更迭され、現在ウィザーズで指揮を執るスコット・ブルックスが後任としてやって来ると、チームを取り巻く状況に変化が見られ始めた。
2009年のドラフト全体3位でジェームズ・ハーデンを指名し、再建に必要なピースが揃ったサンダーは、09-10シーズンに50勝32敗と大躍進を遂げ、同年西カンファレンス8位でプレーオフに進出。1回戦でコービー・ブライアントを擁するレイカーズに敗れたものの、ブライアントは当時、「これからはサンダーに手を焼くことになる」と将来を予見した。
ブライアントの読み通り、デュラント、ウェストブルック、ハーデンは着実に力をつけ、2012年にはNBAファイナルにまで進出。デュラントの加入からわずか5年で、チームはファイナルに行くまでの実力を付けたことになる。
「選手たちがお互いに楽しみながらプレーしている」
そのすべてを見てきたデュラントは、現在のレイカーズについて、『The Orange County Register』にこう語っている。
「今のレイカーズは、選手たちがお互いに楽しみながらプレーしている。ルーク・ウォルトンが指揮を執るようになって、彼がチームの雰囲気を変えた。自分も同じようなチームにいたから分かるんだ。過度の期待をされることなく、ただコートに出てプレーを楽しむ喜びをね」
またデュラントは、現在所属するウォリアーズのアシスタントコーチを昨シーズンまで務めたウォルトンの存在がカギとなり、以前のサンダーと同様に、レイカーズが短期間で再び西カンファレンスの上位争いに食い込む可能性を語った。
「すべてはルーク・ウォルトンに託された」とデュラントは言う。「素晴らしいマネージメントとオーナーに恵まれ、彼らの影響が組織に少しずつ浸透し始めている。僕はウォリアーズに来たからこそ、今のレイカーズの雰囲気の良さが理解できる。ウチと同じだからね。ウォリアーズがしていることの多くをレイカーズもやっている。良い雰囲気作りは、選手たちの成長やレベルアップを重視する環境から始まるんだ」
サンダーは、2012年のファイナルではレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュ率いるヒートに敗れた。その後はハーデンをロケッツに放出し、4年間デュラントとウェストブルックの2強体制でウェストを牽引する強豪チームとなったが、今夏デュラントがフリーエージェントとなってウォリアーズに移籍し、再び再建段階に入った。
サンダーの一時代が終わった今、次の時代を築くのは『ヤング・レイカーズ』なのだろうか。まずは当時のサンダーと同じく、若い力の台頭により観客を魅了するエキサイティングなチームになってもらいたい。